2017 Fiscal Year Annual Research Report
AM-RAMP2系を標的とした、網膜浮腫および線維化の新規治療法開発
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17H06725
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
今井 章 信州大学, 医学部, 助教(特定雇用) (60807329)
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Project Period (FY) |
2017-08-25 – 2019-03-31
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Keywords | Adrenomedullin |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、生理活性ペプチドであるアドレノメデュリン(AM)とAMの受容体活性調節タンパクであるRAMP2から構成されるAM-RAMP2システムに着目し、網膜疾患における線維化の抑制についての治療薬としての可能性を検討することを目的とする。 眼疾患ではしばしば、疾患鎮静化後に炎症の結果、線維化が残り、それによる慢性組織障害のため視力低下を来す。本研究では、AM-RAMP2系の眼内における病態生理学的意義、特に網膜血管バリア維持機能、抗炎症作用、抗線維化作用とそのメカニズムを解明し、網膜浮腫や線維化に対する新たな治療標的とすることを目的とする。 本研究では加齢黄斑変性モデルであるマウスのレーザー誘導脈絡膜新生血管モデルを用いて、AM-RAMP2の役割について検討を行うとともにそのメカニズムの検討をヒト網膜色素上皮細胞を用いて行って検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度研究実施計画に沿って研究を行った。 1.レーザー誘導脈絡膜線維化モデルおよび評価方法の確立 8-12週齡の雄のマウスの片眼眼底、視神経乳頭周囲網膜にアルゴンレーザー照射を行い、Bruch膜を穿破す る。7日後、21日後、麻酔下に心臓からFITC-Dextranを灌流し脈絡膜新生血管を染色し、蛍光共焦点顕微鏡にて撮影を行い脈絡膜血管新生の発生および網膜の線維化の発生を確認した。脈絡膜新生血管及び脈絡膜線維化モデルが確立ができたことから、AM-RAMP2の役割を検討するため、RAMP2+/-マウスおよび野生型マウスを用いて評価を行ったところ、RAMP2では野生型マウスと比して脈絡膜血管新生の増大、線維化の増大、マクロファージ浸潤の低下を認めた。
2. 加齢黄斑変性症における線維化病変については、内皮間葉転換(Endothelial-Mesenchymal Tra nsition; EndMT)や、上皮間葉転換「Epithelial-Mesenchymal Transition; EMT)」の関与が示唆されている。ヒト網膜色素上皮細胞であるARPE-19をTGF-βによって刺激し、アクチンフィラメントの重合状態、ZO-1タンパクの染色をおこなった。TGFβ添加によってEndMTが起こることが確認できたことから、ADMの添加を同時に行って染色を行ったところ、EndMTが抑制されることが示された。
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Strategy for Future Research Activity |
1.レーザー誘導脈絡膜新生血管モデルの確立ができ、安定して血管新生モデルが作成出来るようになってきたことから、引き続きAM-RAMP2の役割について検討を行う。AMおよびRAMP2抗体を局所投与することで血管新生および線維化の治療的実験を行うともに治療前後、未治療群との比較を行い検討する。同時にリアルタイムPCR、ウェスタンブロット法による遺伝子、タンパク発現について検討を行いメカニズムの検討を進める。 2.細胞実験についてはヒト網膜色素上皮細胞におけるEndMTがAMの添加にて抑制される可能性が確認できたことから、リアルタイムPCR、ウェスタンブロット法による遺伝子、タンパク発現について検討を行いメカニズムの検討を進める。
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