2017 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of cell type-dependent inhibitory activity against IFN induction of rabies virus P protein isoforms
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17H06728
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
岡田 和真 岐阜大学, 応用生物科学部, 研究員 (50806354)
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Project Period (FY) |
2017-08-25 – 2019-03-31
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Keywords | 狂犬病ウイルス / 獣医学 / ウイルス学 / 免疫学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度では細胞種ごとに異なる狂犬病ウイルスによるIFN産生抑制能の検討を行った。特にこの細胞種ごとに異なるIFN産生抑制には、狂犬病ウイルスのP蛋白質アイソフォームが関与することが考えられていた。そこで、このアイソフォームを発現するウイルス(Wt)、ならびに発現しないウイルス(Mt)を、培養神経細胞および培養筋肉細胞に感染させ、各細胞種におけるIFN遺伝子の発現量を比較した。その結果、神経細胞においては、アイソフォームの発現の有無に関わらず、同程度のIFN遺伝子の発現量が確認された。一方、筋肉細胞では、Mtを感染させた細胞において、Wt感染細胞よりも有意に高いIFN遺伝子の発現が認められた。従って、P蛋白質アイソフォームが特に筋肉細胞においてIFN産生を抑制するのに必要であることが示唆された。この現象を更に検討するため、両株をマウスの脳内および筋肉内に接種した後に、脳および筋肉内におけるIFN遺伝子の発現量を比較した。その結果、脳よりも筋肉内において、WtよりもMtがより多くのIFN遺伝子の発現を誘導していた。 以上の結果は、各細胞種において異なる自然免疫の誘導機構が存在する可能性、ならびにそれにウイルスが対応するためにP蛋白質アイソフォームを発現している可能性を示している。これらのアイソフォームのIFN産生抑制機構の分子メカニズムを解明することにより、いまだ不明な点の多い狂犬病ウイルスの自然免疫回避機構の一端を明らかにすることが可能になる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
アイソフォームのIFN産生抑制活性の必要性が細胞種ごとに異なる現象には、各細胞種におけるP蛋白質アイソフォームの発現パターンが影響している可能性が考えられる。一方、感染筋肉細胞におけるP蛋白質アイソフォームの検出が想像以上に難しく、試行錯誤している。筋肉細胞に対する狂犬病ウイルスの感染効率が、神経細胞と比較して非常に低いことが一つの原因と考えられる。感染細胞にこだわらず、発現系を用いたアイソフォームの発現パターンの検証を同時に現在進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は上述した各細胞種におけるP蛋白質アイソフォームの発現パターンの解析を進める。その後、発現パターンに影響を与えると考えられる宿主因子に関する検討を行っていく。
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