2017 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト歯髄細胞のドナー個体差を利用した脊髄損傷治療の研究
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17H06731
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
杉山 健 岐阜大学, 医学部附属病院, 助教 (30802673)
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Project Period (FY) |
2017-08-25 – 2019-03-31
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Keywords | GABRB1 / FGF2 / 歯髄細胞 / 脊髄損傷 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は、これまでに、ヒトの親知らずから歯髄細胞(human Dental Pulp Cells:hDPCs)を300ライン以上樹立し、再生医療資源としてのヒト歯髄細胞の様々な有用性を報告してきた。そして、若年者の歯髄細胞が成人に比べると高いiPS 細胞誘導効率を示し、その原因遺伝子のひとつがホメオボックス遺伝子DLX1 であることをつきとめた。これらの結果を受け、脊髄完全切断モデルラットにFGF2 で処理したhDPCs を移植し、脊髄損傷完全切断モデルラットにおいて、FGF2 処理した歯髄細胞と非処理細胞を移植し、PBS (Phosphate Buffered Saline)を投与したコントロール群と比べてFGF2 処理したヒト歯髄細胞が損傷後の有意な運動機能回復効果を持つことを確認してきた。われわれは、FGF2 処理したhDPCs が神経損傷を回復させる効果を持ち、さらにはドナー間に明らかな効果の違いがあることを確認し、FGF2 に応答する遺伝子の解析から、損傷後の機能回復効果と連動するFGF2 応答性遺伝子GABRB1 の存在を見出した。更に機能回復を認めなかったライン(DP296)と同様にhDPCsにおけるFGF2処理によるGABRB1の低応答ライン(DP185)を見つけ、同様に脊髄損傷モデルラットに移植し、機能回復効果を評価すると、コントロールと比して有意な運動機能回復を認めなかった(論文投稿中)。これらの結果から、これまでの樹立した豊富な細胞ラインから様々な年齢においてGABRB1 のFGF2応答性を調べたところ、年齢によって負の相関傾向が有る事を確認した。 GABRB1 の遺伝子が損傷回復の予見させるマーカーとなる可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
論文投稿がなかなか終了せず、当初我々が計画していた実験ではない追加実験や投稿ジャーナルとのやりとりが必要となり、進捗状況をやや遅れていると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
まず歯髄細胞にFGF2処理によってGABRB1遺伝子が機能的に発現しているのか追求する。 またGABRB1 遺伝子が脊髄損傷機能回復効果へ与える影響を検証するために、FGF 処理によってGABRB1 の有意な発現上昇を示すhDPC 株、またはそうでないhDPC 株に発現抑制、または強制発現させた細胞を作製し、移植後の回復効果を解析する。FGF2 処理によって有意なGABRB1 発現上昇を認めたDP1、DP31、DP165 をsiRNA によってGABRB1発現抑制させた細胞を作製する。またFGF2 処理よって有意な発現上昇を認めなかったDP185、DP296 をウイルスベクターもしくはプラスミドによってGABRB1 強制発現させた細胞を作製する。作製した細胞を脊髄損傷モデルラットに移植し、GABRB1 の発現が脊髄損傷回復に与える影響を運動機能、電気生理学的形態学的に評価する。
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