2017 Fiscal Year Annual Research Report
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17H06737
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
鈴木 悠平 名古屋大学, 多元数理科学研究科, 助教 (20804511)
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Project Period (FY) |
2017-08-25 – 2019-03-31
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Keywords | 従順性 / 接合積 / C*環の構造解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
(i) Anantharaman-Delarocheの著名論文(Trans.AMS, 2002)に掲示されていた未解決問題を二つ解決した.これはC*環への群作用に対する従順性の定義にまつわる問題である.従順性はもともとBanach-Tarskiの病理の原因として,von Neumannが特定した群の性質である.意味のある解析を行うためには従順性はなくてはならない性質である.Delarocheは,上記の論文において,C*環上の群作用の従順性を一応定義し,期待されるよい性質が従順性を持つ場合には保証されることを示している.しかし本人も論文で言及しているように,この定義は作用される環の中心上の力学系がとても大きいという性質が大前提となっており,満足のいく完全な定義とは言い難い.とくにこの定義では,非従順群は単純な環の上に従順に作用することはできない.私は今年度,このような定義が実際に強すぎる要請であることを,単純環への従順とみなすべきいくつかのよい性質を備えた作用を構成することで実証した.(特に上述した二つの未解決問題が否定的に解決される.) (ii)プレプリントarXiv:1702.04875v2に,次の定理を追加した.「ねじれを持たない可算無限群は,広いクラスの空間に, 亜群として識別されるよい極小作用をたくさんもつ.」極小作用は単純C*環の材料として,古くから研究されている重要な対象である.とくに去年度私やDavid Kerrが開発した技術により,一般の従順群の極小作用の接合積の構造解析が行えるようになってきたが,どのぐらい実際にそれらの群の極小作用が存在しているのかについてはこれまで言及されていなかった.一般に亜群のレベルで二つの作用を識別することは難しいが,われわれは固有値集合という新しい不変量を亜群に対して導入し,この困難を乗り越え,定理を証明することができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
想定していなかったC*環の群作用の従順性について,重要な発見をすることができた. また,今年度達成することができた,互いに構造の異なる極小位相力学系の構成は,今後接合積の構造解析を行う人々の一つの原動力となるだろう.
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Strategy for Future Research Activity |
C*環の作用の従順性の正しい定式化には,作用の近似中心列のふるまいが重要な役割を果たしているように思える. 今後は作用の「従順性」から,近似中心環のよい性質を取りだすという方針で研究を進めていきたい. また,作用の従順性を駆使して,これまで未開であった非従順群の群作用の分類や, 接合積C*環の構造解析にも研究を推し進めていきたいと考えている.
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Remarks |
論文,講演,出張の報告を公表している.
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