2017 Fiscal Year Annual Research Report
腹腔内細胞コミュニケーションに基づくp53変異卵巣癌における腹膜進展機序の新展開
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17H06753
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
芳川 修久 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院助教 (60804747)
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Project Period (FY) |
2017-08-25 – 2019-03-31
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Keywords | 卵巣癌 / 変異型p53 / miRNA |
Outline of Annual Research Achievements |
卵巣癌の腹膜微小環境における変異型p53タンパクの機能解析を進めるにあたり、過去の報告から変異型p53タンパクの有無によるmiRNAの発現制御に着目した。まず、p53タンパクを発現していないSKOV-3卵巣癌細胞株に空ベクターの他に二種類の異なる変異型p53タンパクを強制発現させた新たな細胞株(合計三種類)を樹立した。本研究に用いたベクターはGFPで標識されており、変異型p53タンパクとのFusionタンパクの形成の結果、蛍光顕微鏡にて核内に変異型p53タンパクが集積していることを確認できた。またWestern Blot法によっても、GFPを抗体として変異型p53タンパクが発現していることを再確認している。これらを用いてmiRNAアレイを行い得られた結果を解析した。その結果、二種類の変異型p53タンパク強制発現卵巣癌細胞株に共通して1.5倍以上(空ベクター発現株と比較)発現増強が認められたmiRNAを8種類、共通して2/3倍以上発現低下が認められたmiRNAを17種類同定した。同定されたmiRNAの中には変異型p53タンパクによってもたらされる悪性形質に直接的あるいは間接的に影響を与えている可能性が示唆されるため、まずはこれらのmiRNAの候補となりえる標的分子を同定するべく、パブリックデータベースの活用に着手した。また、当施設における摘出した臨床検体を本研究の目的に併せて解析できるよう臨床研究を計画し倫理委員会での承認を得た。今後、当施設における臨床情報とp53変異・同定したmiRNAとの相関等について評価・検討を行っていく基盤を構築した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
樹立した変異型p53タンパク強制発現細胞株での悪性形質に関する機能実験を行っているが、既報と異なり本研究で用いた細胞株での再現性が乏しく、形態学的変化や悪性形質に係る表現型の変化を十分に確認できなかった。このため、このため、まずはmiRNAのマイクロアレイにて候補となる変異型p53タンパクの標的miRNAを同定し、この結果に基づいて、他の細胞株(変異型p53の発現や変異の異なる)を用いた実験において、標的miRNAの機能解析を進める方針とした。本年度は候補となる標的miRNAを同定するところまで到達しているが、当初の計画からするとやや遅れている状況となっている。このような状況を踏まえ、次年度に繰り越した実験を順次進めていけるよう倫理委員会における必要な承認手続きや細胞株の準備等を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
既に変異型p53タンパクの標的となりえるmiRNAの候補は同定されており、今後は以下の推進方策に基づき研究を進めていく予定としている。 1.パブリックデータベースを活用した変異型p53タンパクおよび特定したmiRNAの相関解析(TCGA等の過去の大規模オープンデータベースを活用して、p53の変異の有無や発現量と同定したmiRNAとの発現の相関関係を評価する)2.特定したmiRNAの既知の標的分子および未知だが候補となりえる標的分子の推定(過去の文献やmiRDB等のデータベースを用いて標的分子の特定と推定を行う)3.卵巣癌細胞における特定したmiRNAの機能解析(ここでは卵巣癌細胞の内在性のmiRNAが有する機能について、浸潤・転移・接着といった古典的な悪性形質評価アッセイに加えて、腹膜中皮への接着アッセイなど微小環境での機能評価も併せて行う)4.腹膜微小環境を模したin vitro腹膜中皮卵巣癌共培養モデルを用いた分泌型miRNA解析(我々のグループで確立した腹膜中皮細胞と卵巣癌細胞を共培養するモデルを用いて、双方向の細胞コミュニケーションが腹膜微小環境での卵巣癌悪性形質に与える影響を分泌型miRNAの観点で解析する) 以上を推進することで、研究課題の達成に繋げていく。
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