2017 Fiscal Year Annual Research Report
幹細胞が分泌するエクソソームを用いた新たな骨再生治療法の開発
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17H06756
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
坂口 晃平 名古屋大学, 医学部附属病院, 医員 (70801455)
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Project Period (FY) |
2017-08-25 – 2019-03-31
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Keywords | 骨再生 / 間葉系幹細胞 / エクソソーム / 血管新生 / パラクライン効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
①ヒト骨髄間葉系幹細胞由来エクソソーム(MSC-Exo)の効率的回収法の検証: 超遠心法によるエクソソーム回収に関して、超遠心の回転数や遠心時間に関して検討をおこなった。100000G以上であれば、2倍、3倍と回転数をあげても回収されるエクソソーム量に有意な差はなかった。また、遠心時間に関しては60分とそれ以上で有意な差はなかった。この実験結果をうけて、100000Gで60分のプロトコールで超遠心を実施することとした。 ②MSC-Exoの最適保存条件の検証: 回収したMSC-Exoを-80℃で凍結保存した場合、細胞増殖能に関して4週間低下は認めなかった。この実験結果から-80℃で凍結保存は最大1か月以内として、各種実験には回収後、可及的速やかに使用するなどのプロトコールを作成した。 ③MSC-Exoの細胞内への取り込み試験: MSC-ExoをPKHで標識して骨髄由来間葉系幹細胞(MSCs)、ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVECs)を培養した。それぞれの細胞質内にPKHの蛍光が観察され、MSC-Exoが細胞内に取り込まれることがわかった。 ④MSC-Exoの細胞動態に与える影響の検証: MSC-ExoをラットMSCsに投与したところ、細胞増殖能や遊走能が亢進した。また、MSC-ExoをHUVECsに投与したところ、管腔形成能が亢進した。 これらの研究成果をまとめて、国内の学会(第17回日本再生医療学会総会)で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度に計画していた研究内容は計画どおりおおむね実施できた。初年度の実験結果によりMSC-Exoの回収法および保存法についてのプロトコールを作成することができ、安定してMSC-Exoが得られるようになった。今後の研究に大いに役立つものと考える。MSC-Exoを投与されたラット骨髄由来間葉系幹細胞は増殖能が亢進し、骨形成関連遺伝子の発現が上昇した。このことはMSC-Exoがin vivo実験において骨再生に寄与する可能性を示唆するものである。また、ヒト臍帯静脈内皮細胞に関してはMSC-Exoを投与すると管腔形成が亢進した。骨再生の過程において血管新生と新生した血管の成熟が重要であると考えられておりin vivo実験における骨再生においてもMSC-Exoは重要な作用を発揮することが予想される。今後は、ラット頭蓋骨骨欠損モデルを用いた動物実験を進め、in vivoにおけるMSC-Exoの骨再生能を評価していく。 また、実験結果からMSC-Exoは細胞内へ取り込まれることがあきらかとなった。MSC-Exoは細胞内へとりこまれて、その中に含まれる核酸などを伝達している考えられる。MSC-Exo中にふくまれる核酸の解析などを進めていきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
①MSC-Exo中の核酸の解析:MSC-Exoを投与した培地で培養したMSCsからRNAを回収。miRNA microarrayを行い、miRNA発現プロファイリングを行う。miRNAの機能解析として、miRNAインヒビターを用いてmiRNAの機能を抑制し遺伝子発現の変化を評価する。 ②MSC-Exoの骨再生能の検証:Wistar/STラット8週齡雄にトレフィンバーを用いて頭蓋骨骨欠損を作成し。MSC-Exoをアテロコラーゲンスポンジ(テルダーミス)を足場として欠損作成部位に投与する。対照群にはPBSを足場に含浸させて投与する。投与後8週にて検体を回収し評価する。μCTを撮影しX線学的に、組織切片を作成して組織学的に骨形成量を評価する。川本法により凍結切片を作成し、骨再生機序に関して免疫組織化学的に評価する。CD90やCD31に対する抗体を用いて内在性幹細胞の遊走や血管新生などを評価する。MSC-Exo投与部位からRNAを回収して、Realtime RT-PCRを行い骨形成関連遺伝子、血管新生関連遺伝子の発現を評価し骨再生機序を検証する。
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Research Products
(1 results)