2017 Fiscal Year Annual Research Report
トロンボモジュリン-αを応用した劇症型感染症とDICの新規治療法の開発
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17H06764
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
榎屋 友幸 三重大学, 医学部附属病院, 薬剤師 (60803260)
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Project Period (FY) |
2017-08-25 – 2019-03-31
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Keywords | トロンボモジュリン / 敗血症 / 播種性血管内凝固症候群 |
Outline of Annual Research Achievements |
トロンボモジュリン-α(TM-α)に対するポリクローナル抗体を作成し、磁気ビーズにカップリングさせ、TM-αカップリング磁気ビーズを作成した。敗血症による播種性血管内凝固症候群(DIC)と診断された5名の患者から血漿を採取した。採取した血漿を1 mLずつ分注し、一方には100 ug/mLとなるようにTM-αを添加した。患者血漿およびTM-αを添加した患者血漿をTM-αカップリング磁気ビーズを用いて免疫沈降を行い、TM-αと相互作用しているタンパク質を抽出した。抽出したタンパク質を液体クロマトグラフィー飛行時間型質量分析(nano-LC/TOF/MS)にて網羅的に同定した。TM-αを添加していない患者血漿により同定されたタンパク質は非特異的結合により抽出されたタンパク質として除外して解析し、その結果、67種類のタンパク質が同定され、細胞骨格、凝固系、免疫系、炎症反応に関連するタンパク質が同定された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
臨床検体を用いることで、実際のDIC患者の血漿中において、TM-αと相互作用している可能性のあるタンパク質を数種類同定できた。同定されたタンパク質は炎症、免疫、凝固に関与するタンパク質が含まれており、TM-αがそれらのタンパク質と相互作用することで何らかの機能調節に関与している可能性が見いだされた。次年度にこれらのタンパク質との相互作用・機能調節をin vitro実験により証明できれば、TM-αによる新たな作用を見いだせると考えられる。したがって、現在までの進捗状況としてはおおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
症例数を増やし、TM-αと結合するタンパク質と患者の病態との関連を解析する予定である。また、in vitro実験により、同定されたタンパク質とTM-αとの相互作用および機能に対する影響を詳細に解析していく予定である。in vitro実験により相互作用・機能への影響が確認できたタンパク質については、さらに動物実験による解析を行う予定である。一方、様々な細菌からリポポリサッカライド(LPS)を抽出し、免疫沈降法によりTM-αとLPSの相互作用を解析する予定である。
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