2017 Fiscal Year Annual Research Report
カニクイザルにおけるインヒビンワクチンを用いた効率的な新規採卵法の開発
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17H06766
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
中家 雅隆 滋賀医科大学, 動物生命科学研究センター, 特任助教 (90805459)
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Project Period (FY) |
2017-08-25 – 2019-03-31
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Keywords | 生殖工学 / 実験動物学 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでカニクイザルの卵胞発育誘起は、ヒトの方法を踏襲しホルモン(FSH)投与を行ってきたが、個体間の遺伝的バックグラウンドの差による“採卵数と卵の質のばらつき”が問題であった。FSHはインヒビンによる負のフィードバックを受けることから、本研究では、インヒビンに対し獲得免疫を誘導することで、負のフィードバックを中和し、遺伝的統御がされていない動物種であってもFSH投与に対する卵巣の応答を均一化させ、安定して高品質な成熟卵を得ることを可能とする新規採卵方法の開発を目的として行う。本年度は、カニクイザルの卵巣から分泌されるホルモンである、インヒビン、AMH、そして抗体価を測定するために血清の採取を行った。また、カニクイザル卵胞で発現、分泌されるインヒビンの二つのスプライシングバリアントに対し、抗原候補である“ヤギ”インヒビンと、類似または共通のアミノ酸配列を同定した。さらにホルモン投与に対する卵巣の反応状態を腹腔鏡を用い、低侵襲的に形態学的評価を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は本研究課題の初年度であるため、スタートアップ段階としてサンプルの集積および、カニクイザルを取り扱う上での基礎的なハンドリング手技の習得に着手した。さらに、ホルモン投与によるカニクイザルの卵巣の反応状態を低侵襲的に観察するために、腹腔鏡操作の手技習得に着手した。モニター越しに限定された視野・操作空間で、スコープと鉗子を同時に操作しなければならない腹腔鏡作業は、極めて難易度が高く、高度な総合的技術を必要とされるため、卵巣状態を適切に観察するための手技の習得には相当な時間と労力を要した。そのため、予定していたインヒビンペプチド投与実験に着手できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
同定したアミノ酸配列を元に、インヒビンペプチドの合成を行い、免疫獲得を促すアジュバントと混合することで、インヒビンワクチンを作製する。さらに、インヒビンワクチンの投与により免疫獲得が誘導できたかを評価するために、ELISA法によるカニクイザル血中タンパク質の評価系の構築を行う。通常、カニクイザルはインヒビンに対し抗体を生産していないため、1) 卵胞から分泌されているインヒビンやAMHの血中濃度を測定することで、ELISA法の条件検討を行う。2) ELISA法の実験系が整ったら、インヒビンペプチドを固相化したマイクロプレートを作製し、カニクイザルの血清と反応させ、免疫獲得が誘導されたかを評価する。3) これらと並行し、ホルモン投与(GnRH、FSH等)によるカニクイザル卵巣の反応を腹腔鏡を用いて観察し、卵巣および卵胞の形態学的評価を行う。
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