2017 Fiscal Year Annual Research Report
国際漁業規制における寄港国措置の制度的展開とその影響に関する研究
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17H06777
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
楊 名豪 京都大学, 法学研究科, 特定助教 (30804174)
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Project Period (FY) |
2017-08-25 – 2019-03-31
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Keywords | IUU漁業 / RFMOs / 違法漁業防止寄港国措置協定 / 寄港国管轄 / 寄港国措置 / 港内検査手続 / 国際漁業管理 / 地域的漁業管理機関 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度における研究は、当初の研究計画に掲げた「①国際漁業規制における寄港国措置に関する手続の資料収集」をもとに、「②国際漁業規制における寄港国措置制度の体系的分析」を進めた。 まずは、国際漁業分野に拘らず寄港国措置の一般的制度の形成経緯に着目した文献調査を実施した。その中で、寄港国管轄の拡大傾向とその法的根拠についての検討を中心に収集してきた。次に、諸地域的漁業管理機関が採択した港内検査手続や漁獲物認証制度についての文献を収集してきた。そして、IUU漁業についての寄港国措置を行う事例が一方的な行為であることに鑑み、寄港国措置の限界を検討し得る材料(例えば、EUのIUU漁業規制)を得ることができた。 なお、本科研費補助金を利用して、学会や研究会、セミナーなどに出席し、本研究課題にかかわる内容はもとより、国際法の諸分野にかかわる最新動向について、他の研究者との意見交換を進めた。研究発表としては、平成29年12月中旬に京都で行われた国際セミナーにおいて、「Port State Measures as Tools to Combat IUU Fishing: Current Developments and Legal Challenges」と題する報告(英語)を行った。また、平成30年3月下旬に香港に渡航し、香港中文大学で行われた国際セミナーにおいて「Port State Measures to Combat IUU Fishing: A Critical Analysis of EU-IUU Regulation」と題する報告(英語)を行った。 以上の研究活動により、本研究課題に関わる寄港国措置の法制度の形成経緯の整理が進展した一方で、批判的視点から捉えることができ、次年度の研究につながる基盤を形成することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度中に検討すべき重要な部分、すなわち、寄港国措置の制度的展開に関する先行研究および地域的レベルの関連手続や国家レベルの実行の整理を行った。文献の収集と考察を一定程度進めることができ、その結果、平成30年度における本格的な検討作業の方向性にある程度の目途をつけることができたため、初年度としてはおおむね順調に進展していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度には、引き続き文献資料の収集を進めつつ、当初の研究計画に掲げた「③ 関連国際法規範との間の相互影響」についての検討を行う予定である。具体的には、まず、旗国管理の意義を再認識する最近の取組みと寄港国措置の発展を比較対照し、寄港国管轄が旗国主義の補完であるという概念について問い直すこととしたい。また、GATT/WTOの枠内の法規範との整合性に鑑み、寄港国措置の実際的執行がいかなる制限を受けているのかを検討する。以上を踏まえ、平成30年度中に研究成果をまとめて、論文の投稿および公表を目指す。
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Research Products
(2 results)