2017 Fiscal Year Annual Research Report
Dysfunction of bronchiolar stem cells in the pathogenesis of COPD
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17H06807
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田辺 直也 京都大学, 医学研究科, 特定助教 (30805817)
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Project Period (FY) |
2017-08-25 – 2019-03-31
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Keywords | COPD / 気道上皮 / プロテアーゼ / 再生 |
Outline of Annual Research Achievements |
京都大学呼吸器内科における組織バンクに存在する、肺癌などの腫瘍性疾患にて外科的に切除された正常肺と重症度が判定できるCOPD肺組織を用いて、細気管支の上皮構成細胞を免疫組織化学手法にて定量化した。結果、ΔNP63陽性の基底細胞、CCSP陽性のクラブ細胞の数にはCOPD肺と正常肺で差を認めなった。この結果は、COPD肺の末梢気道病変の病態には、基底細胞とクラブ細胞の分布自体は影響していないことを示している。これらの細胞の影響がないのか、もしくは数に差がなくても機能にさがあるのかについては更なる検討が必要と考える。 さらにこれらの細気管支領域がリモデリングをきたす要因についてプロテアーゼ、アンチプロテアーゼに着目して検討した。まず、組織切片上の局所におけるプロテアーゼ活性を可視化する方法を確立した。COPDと正常肺を比較した結果、COPD肺の末梢気道ではプロテアーゼ活性が正常肺に比べて増強していることが明らかにされた。このプロテアーゼ活性増強が気道壁の肥厚とも関連することも示された。以上により、COPD肺における末梢気道病変の発症、進展にプロテアーゼ、アンチプロテアーゼ不均衡にともなうプロテアーゼ活性増強が関与することが示された。 この末梢気道におけるプロテアーゼ活性増強が、気道周囲の肺胞の破壊の脆弱性の要因となり、気道収縮により肺胞が断裂することで、肺気腫病変が進行するという仮説を検討するために、COPD肺のex vivo培養(Precision Cut Lung Slice法)を確立する必要があった。その前段階として、マウスのlung slice培養を行い、気道収縮物質であるアセチルコリン(カルバコール)を投与することで気道収縮するモデルを確立することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マウスを用いた基底細胞、クラブ細胞における喫煙暴露などによる傷害後の修復のメカニズムの検討を予定していたが、ヒトCOPD肺、正常肺組織の比較、末梢気道のプロテアーゼ活性の解析結果が大変興味深いのものであり、そちらの検討に注力した。一方、当初は平成30年度に行う予定であったヒト肺から得られたLung sliceによるex vivo実験については、本年度より準備を開始しており予定を上回る進捗状況である。総合的にはおおむね順調と考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
COPDのlung sliceをex vivoで培養し、平成29年度の検討にて明らかになったプロテアーゼ活性と上皮細胞との関連、周囲の肺胞壁の関連について実験的な介入(活性化もしくは抑制実験)を試み、微小環境下での病理表現型がどのように変化するかを検討する。
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