2017 Fiscal Year Annual Research Report
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17H06815
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山尾 幸広 京都大学, 医学研究科, 特定病院助教 (90736810)
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Project Period (FY) |
2017-08-25 – 2019-03-31
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Keywords | 言語白質線維路 / トラクトグラフィー / 術中電気刺激 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、言語機能野間の機能的結合を術中に評価し、術前術後の言語機能を評価することにより言語皮質野および白質線維路の機能を詳細に解明することを目的とした。また、言語白質線維路及びその関連領域の損傷が見られた患者の経過を見ることで、言語機能回復の有無及びこの回復に関わる部位を解明することも目的とした。 初年度は、術前後および術中の検査方法を確定させることを行った。非侵襲的に脳白質線維路を描出する方法として、MRIの拡散強調画像を用いたトラクトグラフィーの新たな解析方法であるspherical deconvolution法を、創設者である英国King’s college LondonからDr. Marco Cataniを招聘して導入を試みた。これにより、従来法と比べて簡便にまた、正確に脳白質線維路を描出することができるようになった。 侵襲的な方法としては、これまで術中に皮質の単発電気刺激を行うことで皮質-皮質間誘発電位(cortico-cortical evoked potential: CCEP)を記録し、運動および言語野間の機能的結合が得られていた。本研究では、まず難治性てんかん患者での硬膜下電極埋め込みを行った患者で、前述のトラクトグラフィーとCCEPの最大反応部位が一致することを運動野領域で示し、さらに機能野間で結合の強さの違いがあることを示した。また、これまで言語領域のCCEPは術中に覚醒下手術を行う患者を主に対象に行ってきていたが、今回全身麻酔下と覚醒時でのCCEPの波形を検討することにより、覚醒時の方が全身麻酔下と比べてCCEPの振幅の増大を認める傾向にあり、振幅の変化は認めるものの、反応部位の分布の変化は認めないことを示した。これにより全身麻酔下でもCCEPが有用であることを示し、覚醒下手術が困難な患者でも言語白質路を術中に同定でき、有用であることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は術前後および術中の検査方法を確定させることを優先して行い、方法論については確定を目指している。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度は言語関連領域に病変を持つ対象患者の手術が少なかったため、術前後の言語機能回復の有無および関連部位を解明することまではできなかった。症例が蓄積すれば、得られたデータを統合し、必要な統計的解析を加え、関連言語白質線維機能の詳細を明らかにする。手術から長期間経過した症例も蓄積してくるため、術後の代償機転についても評価を行う。 研究が計画通に進まない場合には、必要に応じ、過去の共同研究で培ったネットワークを活用し、各方面の専門家に助言を仰いで検討する予定である。
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Research Products
(4 results)