2017 Fiscal Year Annual Research Report
卑金属多機能不斉触媒の創製と効率的不斉分子変換反応の開発
Project/Area Number |
17H06834
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
佐古 真 大阪大学, 産業科学研究所, 助教 (20804090)
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Project Period (FY) |
2017-08-25 – 2019-03-31
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Keywords | バナジウム / レゾルシノール / 酸化カップリング / キラル触媒 / 軸不斉化合物 |
Outline of Annual Research Achievements |
フェノール誘導体を基質とする酸化カップリング反応は、フェノール誘導体の反応性が低く、高活性な一電子酸化作用を有する金属触媒を用いると位置選択性の制御が困難となり、炭素-酸素結合形成カップリングや脱芳香族化反応といった副反応が起こることから、触媒的かつエナンチオ選択的な例は一例のみである。キラルビフェノール類は不斉配位子や不斉有機分子触媒に利用されており、またその骨格は生物活性を示す天然物にも見受けられるため、その合成法の開発は強く求められている。本研究では、オキソバナジウム錯体のLewis酸性を高めた6,6’位臭素置換二核バナジウム錯体を用いて、高い位置選択性とエナンチオ選択性でフェノール誘導体の不斉酸化カップリングを達成し、対応するキラルビフェノールを最高93%収率、98% eeで得ることに成功した。本反応のバナジウム触媒の再酸化剤には空気中の酸素を使用しており、得られる共生成物は水のみのクリーンな反応系である。触媒構造の最適化検討では、単核バナジウム錯体では当該反応は全く促進されないことがわかり、二核錯体の特異的な反応促進効果が観測された。反応機構研究においては、反応溶液が不均一系(反応基質と触媒が反応溶媒に完全に溶解していない)であったため、詳細な解析は困難であったものの、二種類の反応基質を用いるヘテロカップリング反応から得られた結果を考慮すると、本反応はラジカル-ラジカル機構で進行していると予想される。本研究成果はアメリカ化学会のThe Journal of Organic Chemistry誌に掲載済みであり、掲載巻のカバーアートに選ばれた。
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Research Progress Status |
平成29年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(14 results)