2017 Fiscal Year Annual Research Report
To improve platinum drug resistance of ovarian clear cell carcinoma with antisense oligonucleotides including artificial nucleic acid
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17H06847
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中川 慧 大阪大学, 医学系研究科, 招へい教員 (30650593)
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Project Period (FY) |
2017-08-25 – 2019-03-31
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Keywords | antisense / ovarian carcinoma / annexin / platinum resistance |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの実験で候補に絞り込んだ2,4-架橋型アネキシンA4アンチセンスオリゴ(AnxA4 ASO)を卵巣明細胞癌細胞株RMG-1へトランスフェクションさせたのち、濃度勾配をつけて(0-35μM)シスプラチンに暴露させ、細胞における薬剤の50%阻害濃度を算出したところ、コントロール群に比較しその50%阻害濃度は有意に低下し、コントロール(5.2uM)に対して(3.3uM)と約40%IC50を減少させた。この細胞内に蓄積するシスプラチンを定量的に測定・解析したところ、コントロール(0.020pg/cell)からAnxA4 ASOを用いた卵巣癌細胞では、(0.025pg/cell)へと、細胞内プラチナ蓄積量が25%増加していた。卵巣明細胞癌細胞株OVISEについても同様の結果が得られ、また、本邦において卵巣がん治療に頻用されるカルボプラチンに関してもRNG-1、OVISEで薬剤耐性が改善することが明らかになった。他の卵巣癌細胞株(OTOKO、SKOV3、OVSAHO、A2780)についてはいずれもANXA4の恒常的な発現レベルが低く、本検討の対象外とした。もともとの株ではANXA4の発現がほとんどなく、プラチナ感受性の胃がん細胞株NUGC3に対してウイルスベクターを用いてANX4を恒常的に発現させた下部においてはANXA4発現でプラチナ耐性を生じ、ANXA4ASOで耐性が解除されることが明らかになり、 以上の結果を総合して、細胞内からのプラチナ製剤の排出がAnxA4 ASOにより抑制され、細胞内のシスプラチン含有量が増え、その結果プラチナ感受性の改善がみられるという仮説に合致する結果となった。架橋構造の変化については、アミド型の架橋構造に変化させたASOでは優位な変化が得られず、他の方法を検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
29年度中に予定していた卵巣明細胞癌の細胞内プラチナ製剤蓄積量については機序が明らかになった。一方漿液性腺癌に関しては、ANXの恒常的発現量が少なく、強制発現株の樹立やプラチナ耐性株の樹立といった行程が必要になり、本研究の直接的な目的である、明細胞癌のプラチナ耐性に必須ではないため、費用、時間的な問題から30年度以降に検討を行う予定とした。代わりとして、すでに樹立していたNUGC3(胃がん細胞株)のANXA4強制発現株における検討では、ANXA4の恒常的な発現によりプラチナ耐性を獲得し、ANXA4ASOでプラチナ耐性が改善されることが示唆された。多数例の免疫染色に関しては現在臨床情報と検体収集を行い、免疫染色の準備を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
29年度に予定していた漿液性腺癌での検討を行うとともに、研究協力グループから、核酸の基本構造に臓器選択的なデリバリー担体である誘導型の単糖類やコレステロール類を結合させることで腎毒性等が軽減され、標的臓器への集積や必要な投与量の減少が可能になる(Wada et al. Nucleic Acid Ther, 2018) との報告が出たため、架橋構造の変化だけではなく修飾基の変化も含めた検討を行いこれらをもとに核酸の投与方法、構造の最適化、DDSをin vitro, in vivoそれぞれにおいて評価する。細胞株のxenograftでは腫瘍組織中のAnx A4の発現レベ ルが一定であるのに対して、卵巣癌組織中のAnx A4は発現が高い部位と低い部位が混在したheterogeneityを示す症例も存在す ると考えられるためPDXマウスによる治療効果の行える体制を整えておく。すでにマウスにおいてAnxA4 ASOを用いると腫瘍内のAnxA4発現が抑制されていることを確認した。今後はマウスの正常組織へ のAnxA4 ASOの毒性・副作用の有無について解析を行う。マウスにAnxA4 ASOを投与した後の体重変化や血液データ、主要臓器の 組織学検討を行い毒性・副作用を解析する。
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Research Products
(2 results)