2017 Fiscal Year Annual Research Report
S100A7が象牙質-歯髄複合体創傷治癒に与える影響の解明
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17H06848
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小道 俊吾 大阪大学, 歯学部附属病院, 医員 (40804456)
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Project Period (FY) |
2017-08-25 – 2019-03-31
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Keywords | 歯髄創傷治癒 |
Outline of Annual Research Achievements |
象牙質-歯髄複合体の創傷治癒メカニズムの解明とより安全かつ効率の良い覆髄剤の開発を念頭に、傷害を受けた歯髄における創傷治癒を促進する分子として同定されたProtein S100-A7 (S100A7) の歯髄創傷治癒過程における生物学的機能の解明を目的とした研究を実施し、以下の成果が得られた。 1. 5週齢の雄性Wistar系ラットを用い、全身麻酔下で上顎第一臼歯の歯冠近心面に規格窩洞形成器にて象牙質の半分の深度に至る実験的窩洞を形成。窩洞形成後1, 3, 7および14日後の窩洞直下におけるNestin, MMP20, S100A7, CD146とRAGEの時間空間的局在を、免疫組織化学染色により検索した。その結果、窩洞直下の歯髄組織おいてS100A7とRAGEの発現が上昇し、CD146陽性細胞の遊走および第三象牙質形成が確認された。歯髄組織におけるS100A7の局在の報告は過去に無く、歯髄創傷治癒における幹細胞とDAMPs-PRRsシグナルの関与が示唆された。 2. 5週齢の雄性Wistar系ラットを用い全身麻酔下で上顎第一臼歯を抜去し、メスを用いてCEJにて切離後、歯冠側を0.4 5mmのポアメンブレン上に静置し、10%FBS含有培地を用い48 well plateにて培養し経時的にHE染色による組織学的観察をおこなった。その結果、象牙芽細胞層の崩壊と再配列を認め、ラット臼歯器官培養モデルが確立した。ラット臼歯を矢状面にて二等分し培養するモデルは過去に報告があるが、歯根膜由来細胞のコンタミネーションの危険性が問題点であった。今回確立したモデルにおいてはCEJより歯冠側のみを使用することでその危険性を排除することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね順調に進展している
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Strategy for Future Research Activity |
当初はS100A7の受容体としてTLR4を用いる予定であったが、よりS10A7に特異的な受容体としてRAGEを用いて実験をおこなった。 今後は象牙芽細胞分化と第三象牙質形成におけるこれらの分子の機能解析をおこなうため、器官培養モデルにおいてsiRNA(si-s100a7 or si-rageを応用し、1, 3, 7および14 日間培養し、定量PCR法、Western blot法にてS100A7およびRAGEの遺伝子およびタンパクのノックダウン効果と 抑制時間の検討をおこなう。
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Research Products
(3 results)