2017 Fiscal Year Annual Research Report
インドにおける社会保障政策が製造業の雇用へ与える影響に関する理論的、実証的分析
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17H06858
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
古田 学 神戸大学, 経済経営研究所, 学術研究員 (90804550)
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Project Period (FY) |
2017-08-25 – 2019-03-31
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Keywords | データセットの整備 / モデル構築 / サーベイ / 実地調査 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究においては、近年開発経済学で主流となりつつある、因果関係を特定する実証分析と、経済理論モデルを構造推定して政策評価を同時に行う手法を取り入れ、インド農村での社会保障政策の製造業へ与えた影響を捉えることを目的としている。 以下は、本年度の研究計画に沿った実績である。1)データセットの整備およびマイクロ計量-本年度はまず両手法を行うためのデータセット、全国標本調査(NSS)の雇用失業者調査である第61次調査(2004年度)、第64次(2007年度)、第66次(2009年度)をそれぞれ細かい修正がまだ必要であるが概ね分析可能な状態にしている。また、パラメータの推定に用いる年次工業調査(ASI)もすでに分析可能な形式にしているので、このデータの一部を使い、男女間の賃金格差にだけ着目した論文を執筆し、Discussion Paperとし、現在海外雑誌に投稿中である。また、上述のデータが個人を複数年追いかけることができないものであったが、新たに入手したデータはその追跡が可能であり、そちらのデータも院生を雇い整備を行ってもらい完成間近である。2)発展途上国における構造推計に関する文献のサーベイ-この点に関しては現在も進行中であり、以下のモデル構築のための参考にしている。3)モデルの構築- 理論構築においては、京都大学経済学研究科博士後期課程 浅岡慎太郎氏の協力を得て取り組んでいるが、完成にはまだ時間を要する。4)ワークフェア及びNREGAに関する文献のサーベイ-この点に関しては現在も進行中であり、ある程度まとまったサーベイができれば、日本語でサーベイ論文とし、国内雑誌もしくは紀要に掲載する予定である。5)実地調査-実地調査としては、2017年12月26日から2018年1月7日まで渡印し、日系企業を中心に聞き取り調査を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
概ね順調だと考えるのは、まずはデータセットの整備が予定通りのペースで進み、間も無く分析を始められる状態にあるからである。また、新たに入手した本研究を補完すると考えられるデータについても整備が概ね終わっており、こちらでも成果物を書けると考えられる。そして、すでに整備が終わったデータを用いて、関連する製造業内での男女間賃金格差についての論文を書き、現在海外雑誌に投稿中である。モデル構築に関しては、基本となるモデルはできているのだが、今回の推計と合わせるための変更にもう少し時間が必要である。構造推定及びワークフェアに関するサーベイもまだ網羅的とは言えないが、行えていると考える。実地調査においても、企業から貴重な雇用に関する聞き取りができたと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の方針としては、本年度において分析のための下準備であるデータ整備が出来つつあるので、翌年度では出来るだけ早い段階で実証分析に移っていく。そして、実証結果を用いて英語論文を執筆し、海外雑誌に投稿して行く。構造推定の部分については、まだモデル構築に時間を要するが、協力者との打ち合わせを密にし、構築を目指す。モデルが構築できた時点ではパラメータの推定等のデータセットは出来上がっている状態とし、構築が出来次第推計に入っていく。そして、前述の実証結果と組み合わせながら、英語論文にしていき、海外雑誌への掲載を目指す。ワークフェア及びNREGAのサーベイに関しては、日本語論文としていく。本年度の実地調査ではタイミングが合わずNREGAを管轄する機関への聞き取りができなかったので改めて翌年度に実地調査を行う。
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Research Products
(4 results)