2017 Fiscal Year Annual Research Report
Mechanism elucidation of silicic acid uptake by grain silicic acid channel
Project/Area Number |
17H06879
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
齊藤 恭紀 岡山大学, 異分野基礎科学研究所, 特任助教 (10808786)
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Project Period (FY) |
2017-08-25 – 2019-03-31
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Keywords | 穀物 / 膜タンパク質 / 膜輸送体 / チャネル / アクアポリン / X線結晶構造解析 / ケイ酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
ケイ素は土壌中に多く含まれる元素で、イネやトウモロコシ、オオムギ等、重要な穀物の生育や生産性を左右する。穀物はケイ素を土壌中から取り込むことで、生物的・非生物的ストレスに対して耐性を獲得しているので、ケイ素を取り込む仕組みの理解は穀物の頑健性や生産性の向上に大きく寄与すると期待されている。穀物におけるケイ素の取り込みは、根の外皮細胞の細胞膜上に発現しているケイ酸チャネルが土壌中のケイ酸を取り込むことから始まる。しかしながら、このケイ酸チャネルがどのような仕組みでケイ酸を透過しているのかについては、その立体構造が明らかになっていないために謎に包まれている。 本研究では穀物の根におけるケイ酸取り込みの機能制御を目指し、ケイ酸チャネルのケイ酸取り込み機構の原子基盤をX線結晶構造解析により明らかにすることを目的とした。初年度では、穀物のケイ酸チャネルを安定な状態で精製する条件を探索し、結晶化を成功させることを計画していた。当初の計画通り、効率的な探索方法を用いて穀物のケイ酸チャネルを安定な状態で精製する条件を見出し、結晶化にも成功した。また、ケイ酸チャネルのケイ酸透過能を迅速に調べる昆虫細胞を用いた機能評価法も確立した。得られた結晶を用いて回折データの収集を行ったが、まだケイ酸透過機構を詳細に議論できるレベルのデータは得られていないので、今後、より良質な結晶を作製できる条件の探索が必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究計画では、初年度に穀物のケイ酸チャネルを安定な状態で精製する条件を探索し、結晶化を成功させることを計画していた。 初年度では、界面活性剤の種類の検討や透過基質の添加、脂質の添加等、網羅的に溶媒条件を探索したことで、安定性を飛躍的に向上させる条件を見出すことができた。これに加えて結晶化コンストラクトの改良を行ったことで、ケイ酸チャネルの結晶化に成功した。しかしながら、得られた結晶の質は十分に高くなかったので、ケイ酸透過機構を詳細に議論できるレベルの回折データは得られなかった。今後、良質な結晶を作製するために結晶化コンストラクトを最適化する必要性が出てきたので、当初予定していなかったケイ酸チャネルのケイ酸透過能を迅速に調べる機能評価法を確立した。これにより、結晶化コンストラクトを変更した際に、そのケイ酸透過能の評価を迅速にできるようになった。 以上の結果を鑑みて、現在の進捗状況は当初の計画以上に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までに、穀物のケイ酸チャネルを純度良く安定的に精製することに成功しており、その結晶化にも成功できている。しかしながら、詳細な結晶構造を得られる程の良質な結晶は得られていない。今後は、結晶化条件および結晶化コンストラクトのさらなる至適化を行い、ケイ酸チャネルの立体構造を原子レべルで明らかにすることができる良質な結晶を得ることを目指す。そのような良質な結晶が得られた後は、ケイ酸がある条件と無い条件で別々に結晶を作製し、回折データを収集して立体構造モデルの構築を行い、それぞれの構造を比較することでケイ酸透過機構を明らかにする。
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