2017 Fiscal Year Annual Research Report
血管周囲造血幹細胞ニッチに着眼した、骨髄GVHD発症機構の解明と新規治療法の探索
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17H06882
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
淺田 騰 岡山大学, 大学病院, 助教 (70803055)
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Project Period (FY) |
2017-08-25 – 2019-03-31
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Keywords | 骨髄GVHD |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、同種造血幹細胞移植後の主要な合併症である移植片対宿主病による造血障害の病態解明と対策法を探索するものである。これまでの研究で、GVHDが骨内膜に存在する骨芽細胞ニッチを傷害することが報告されている。本研究では、近年、造血幹細胞ニッチとして注目されている血管周囲ニッチに着目し、さらには血管周囲ニッチを、動脈周囲ニッチと静脈周囲ニッチに分けて解析し、それぞれのニッチ細胞の役割を解明することに新規性がある。また、これまでのGVHD治療は、免疫担当細胞をターゲットとしたものが中心であるが、本研究により、血管ニッチを照準とした新たな治療手段開発への糸口となることが期待される。さらに、骨髄GVHDの造血幹細胞ニッチ傷害のメカニズムが解明されれば、骨髄GVHDだけでなく再生不良性貧血などの、造血幹細胞ニッチをふくめた微小環境の異常に起因していると思われる、他の病態解明にも発展する可能性がある。 まず、GVHDが造血幹細胞自体に与える影響を解析するため、野生型マウスを用いて急性GVHDモデルマウスを作成し、造血幹細胞への影響を経時的に解析した。次に二種類の血管周囲ニッチへの影響を解析するため、それぞれのニッチモデルマウスをレシピエントとしたGVHDマウスを作成している。各マウスでラベルされたニッチ細胞を、数的、形態学的、細胞機能的と多方面より解析し、GVHDが各ニッチ細胞に与える影響を検討する予定である。これに加えて、コントロールマウスの各ニッチ細胞との遺伝子発現解析を比較することにより病態メカニズムの同定を行い、治療ターゲットとなりうる機構を炙り出す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度はまず野生型マウスを用いた急性GVHDモデルマウスを作成することから開始した。最適なGVHDモデルを作成するため、異なるマウス種の組み合わせ、輸注細胞数の調整、照射放射線量の検定などを行った。これによって作成した急性GVHDマウスで、末梢血、骨髄を解析し、造血幹細胞、各種ニッチ細胞の定量解析をFACSにより行った。解析に最適なGVHDモデルマウスの条件設定に予定よりも長い時間がかかっており、現在も最適な条件を模索中である。 また、骨髄内血管ニッチ細胞をラベルする遺伝子改変マウスを導入し、繁殖を開始している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、野生型マウスを用いた急性GVHDモデルマウスにて、ニッチ細胞の定量解析に加えて、骨髄imagingによる、造血幹細胞やニッチ細胞の位置的解析も行う。また、現在繁殖中である遺伝子改変マウスを用いて、ニッチ細胞の定量的、形態学的解析を行う予定である。
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