2017 Fiscal Year Annual Research Report
緑膿菌の抗菌薬抵抗性に対する新規化合物の作用機序の解明
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17H06908
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
天羽 崇 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学系), 特任助教 (00803545)
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Project Period (FY) |
2017-08-25 – 2019-03-31
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Keywords | 緑膿菌 / 抗菌薬抵抗性 / rpoS遺伝子 |
Outline of Annual Research Achievements |
緑膿菌クオラムセンシングのシグナル分子オートインデューサーのアナログである新規化合物AIA-1が、緑膿菌の抗菌薬抵抗性を減少させること、その作用機序の一つとして、rpoS遺伝子の発現を抑制することを見出した。そこで本研究では、rpoS遺伝子の制御機構を明らかにすること、及びその他の作用機序を解明することを目的とする。加えて、緑膿菌以外の細菌に対する効果を検討する。まず一つ目に、rpoS遺伝子の制御機構を明らかにするため、rpoSプロモーターの下流に発光遺伝子を組み込んだ株を作製した。その株を親株とし、トランスポゾン挿入株を作製し発光強度の測定を行った結果、親株に比べ発光強度が著しく減少した株が5株得られ、これらの株はrpoS遺伝子の発現が抑制されていると考えられた。その他の作用機序の解明については、平成29年度において候補として検討した遺伝子では差が見られなかったため、候補を追加し検討する。緑膿菌以外の細菌に対する併用効果の検討では、カルバペネム系抗菌薬耐性腸内細菌科細菌(Carbapenem-resistant Enterobacteriaceae: CRE)を用いた微量液体希釈法による感受性試験において最小発育阻止濃度(Minimum Inhibitory Concentration: MIC)が減少することが確認された。このことから、AIA-1はCRE感染症に対し有効である可能性が示唆された。その他の検討項目として、AIA-1以外の新規化合物15種類を用いて抗菌薬との併用効果を検討した結果、1種の化合物がAIA-1と同様の効果を有することが見出された。この化合物の作用機序がAIA-1と同じであるか検討する必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
rpoS遺伝子制御機構の解明において、トランスポゾンライブラリを作製し発光強度が減少した株を見出したが、トランスポゾン挿入部位の決定には至っていないため、早急に決定する必要がある。また、rpoS遺伝子以外のターゲット遺伝子の探索においては、候補とした遺伝子の欠損株における殺菌試験では、野生株との差が見られなかったため、更なる候補遺伝子の追加が必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
現在得られているトランスポゾン挿入株において、トランスポゾンの挿入部位を決定し、欠損株の作製を行う。またRNA-seqなどの結果から候補となる遺伝子を決定し欠損株を作製し殺菌試験を行う。CREに対する検討においては、菌種及び株数を増やし薬剤感受性試験を行う。新たに併用効果が見出された1種の化合物においては、AIA-1の作用機序解明方法に準じた実験を行い、作用機序を明らかにする。
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Research Products
(3 results)