2017 Fiscal Year Annual Research Report
液状化時における埋設管路の水平変位特性の解明ならびに限界状態設計法の提案
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17H06917
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
小野 耕平 愛媛大学, 理工学研究科(工学系), 助教 (30804166)
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Project Period (FY) |
2017-08-25 – 2019-03-31
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Keywords | 埋設管路 / 液状化 / スラスト力 / 耐震 / 遠心模型実験 |
Outline of Annual Research Achievements |
管水路の屈曲部や分岐部では,水流による遠心力や内水圧の不均衡により,スラスト力と呼ばれる外力が作用している.通常,埋設管路は周辺地盤からの適切な拘束を受けることで安定を保っており,周辺地盤の液状化はスラスト力による管路の水平変位および継手の抜け出し被害に繋がる.本研究課題は,液状化時における埋設管の水平変位挙動を実験的に検証し,液状化時に有効なスラスト対策を提案することを目的とする. 管路の埋設挙動は地盤の応力状態に強く影響を受けるため,実規模相当の応力レベルを再現可能な遠心力場において模型実験を実施した.小型の剛土槽内に,口径30mmの模型管および計測器を埋設しながら相対密度50%程度の中密地盤を作製し,メトローズ水溶液で充分に飽和させた.遠心力場において,模型管に対して直角に固定した載荷用ロッドを介して,電動アクチュエータによる水平載荷を行った.模型管とロッドの連結部に荷重計を取り付けることで水平変位時に管に加わる抵抗力を直接計測し,地盤内に配置した間隙水圧計および加速度計により,埋設管周辺の地盤状態を詳細に計測した.水平載荷と同時にメカニカル振動台を用いて水平加振を行い,地盤を液状化させた.本実験では,主に以下の点について検討した.①模型管の水平載荷速度を変えた実験を実施し,管の移動速度による影響を調べた.②振動加速度,および水平載荷と加振のタイミングを変化させ,その影響を調べた.③高速度カメラで撮影した連続画像を用いて画像解析を行い,加振時および水平載荷時の地盤の動きを検討した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度は,遠心力場における水平載荷実験手法の確立に想定以上の時間を要したものの,画像解析システムの構築も含めて,一様な砂地盤を対象とした模型実験をほぼ予定通り実施することができた.基本的特性の理解が進み,次年度の模型実験にスムーズに着手できる状態となった.
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は,初年度に実施した遠心模型実験の実験条件を拡張し,さらに発展させる予定である.具体的には,スラスト力を模した一定外力を負荷することが可能な載荷装置を新たに作製し,より実際に近い載荷条件を再現する計画である.重錘を用いて一定荷重を予め負荷した状態のまま水平加振により液状化を発生させ,スラスト力により移動する埋設管の液状化時変位挙動を検証する.得られた実験結果を,前年度に確立した載荷手法による追加実験で補足し,より詳細な検討を加える.特に,埋設深および掘削幅に着目し,埋戻し土と現地盤で液状化強度が異なる地盤条件が水平抵抗力に与える影響を解明する. 最終年度であることから,これまで得られた成果を総合的に検討し,現象のモデル化および具体的な対策効果の定式化に取り組む.
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