2017 Fiscal Year Annual Research Report
幼児期の間接互恵性の獲得を支える認知・情動的基盤の検討
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17H06921
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Research Institution | Fukuoka University of Education |
Principal Investigator |
熊木 悠人 福岡教育大学, 教育学部, 助教 (50802815)
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Project Period (FY) |
2017-08-25 – 2019-03-31
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Keywords | 間接互恵性 / 利他行動 / 評判操作 / 共感 / 未来思考 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、間接互恵性に関わる行動が幼児期に獲得される背景を、認知・情動発達の側面から検討することを目的とする。特に、向社会的でない他者よりも向社会的な他者に対して利他行動を行う選択的利他行動、他者に見られているときにより向社会的に振舞う評判操作の二点に着目し、共感が選択的利他行動に与える影響、未来思考をはじめとする認知機能と評判操作の行動との関連について、幼児を対象とした行動実験によって検討する。 このうち、本年度は、4歳から6歳の幼児を対象に、共感が選択的利他行動に与える影響を検討するための実験を実施した。実験では、参加児ははじめに向社会的な他者と向社会的でない他者が登場する映像を視聴した。その後、両者が苦痛を感じると思われる場面の写真を見て、どの程度共感を感じるかについて評定する課題、両者に対する選好を評価する課題、および、子ども自身のものとして与えられた資源を、それを欲しがっている両者に対して分配する課題を行った。分析の結果、両者の苦痛に対する共感を測定する課題については、映像の提示順による影響がみられるなど、課題の妥当性に問題があると考えられた。そのため、共感が選択的利他行動に与える影響について、より妥当な実験手続きを用いた再検討が必要であると考えられた。 また、評判操作と未来思考の関連を調べる実験の基礎となる、幼児期における未来思考と利他行動との関連について調べた研究を論文化した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画通り、共感と選択的利他行動との関連についての実験を実施した。しかし、分析の結果から、共感を測定する課題の再検討が必要と考えられた。そのため、刺激映像の撮り直しや課題の改良を行い、再度、実験を行う必要がある。当初予定では、共感が選択的利他行動に与える影響についての実験データを昨年度中に取り終えるとしていたが、今年度の追加実験が必要となったため、進捗状況としてはやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
共感と選択的利他行動との関連について検討するため、課題を改良し、改めて実験を実施する。この実験実施と同時並行で、評判操作と未来思考との関連を調べるための実験の準備を進める。年度の後期には、5-6歳児を対象に評判操作についての実験を実施する。得られた研究成果は、学会発表と論文化を通して公表していく。
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