2017 Fiscal Year Annual Research Report
超伝導回転機へ向けた高温超伝導線材の交流損失の推定手法および低減技術の確立
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17H06931
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
三浦 峻 九州大学, システム情報科学研究院, 助教 (80804674)
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Project Period (FY) |
2017-08-25 – 2019-03-31
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Keywords | 交流損失 / 高温超伝導 / ピックアップコイル / 回転機 / レーザースクライビング / 温度スケーリング |
Outline of Annual Research Achievements |
超伝導線材により構成される超伝導回転機などの交流機器を設計する際、その巻線部で発生する交流損失量を正確に見積もる必要がある。また交流損失量は必要な冷却システムの冷却能力や使用電力量に反映されるため、交流損失を低減することで冷凍機を含む機器全体の軽量化およびランニングコストの低下につながる。超伝導線材の交流損失は温度や磁界などの運転環境に依存し、各運転環境の交流損失を実験により評価するには、膨大なコストと時間が必要となる。そこで本研究では、希土類系高温超伝導テープ線材における交流損失の簡便な推定手法の確立を目的とした。 本年度は、異なる温度(25-77 K)、印加磁界(0.01-5 T, B⊥テープ面)、磁界印加角度、および線材積層枚数(1-16枚)における超伝導線材の交流損失をピックアップコイル法により評価した。実験に使用した線材は無分割線材とレーザースクライビング法により分割した線材(2、4、8分割)である。それら線材試料は産業技術総合研究所から提供していただいた。 いずれの線材積層枚数の無分割線材および分割した線材における交流損失の磁界振幅依存性は温度によりスケーリングすることを明らかにした。線材の中心到達磁界以上の磁界振幅の領域においては異なる線材積層枚数の交流損失[J/m3 cycle]は同程度であることを確認した。一方で、中心到達磁界未満の磁界振幅の領域においては、積層枚数の増加に伴い交流損失が小さくなることがわかった。これは反磁界効果により定性的に説明されることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
希土類系高温超伝導テープ線材のフィラメント分割数および積層枚数によらず、温度スケーリング則が成り立つことを見出した。これにより積層かつ分割した線材の交流損失を簡便に推定することが可能となった。 現在、本研究課題を発展させ、積層した超伝導線材を巻線しコイルとした場合の交流損失を評価するため、新しく測定システムを立ち上げつつある。 よって、本研究課題は計画以上に進展していると判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通り、各運転環境における短尺の希土類系高温超伝導テープ線材の交流損失を既存の測定システムにより評価し、推定手法を確立する。さらに積層した超伝導線材で構成されるコイルの交流損失を評価するために、新しく測定システムを構築する。またその理論解析に必要な電圧-電流特性を四端子法により評価するための測定システムも立ち上げる。
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