2017 Fiscal Year Annual Research Report
常時微動計測に基づく伝統木造住宅における振動特性の長期的変化
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17H06932
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
南部 恭広 九州大学, 人間環境学研究院, 助教 (80802298)
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Project Period (FY) |
2017-08-25 – 2019-03-31
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Keywords | 伝統木造住宅 / 常時微動計測 / 耐震性能評価 / 茅葺き |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、伝統木造住宅の耐震性能を常時微動計測によって簡略的に推定可能にすることを目指し、微動レベルで振動特性に影響を与える要因の分析と変化量の評価を行う。なお、本研究は、今後、長期間の連続計測を行うための予備的な調査として位置付けるものである。本年度は、まず、主に①常時微動計測の定期的な実施開始と、②調査対象住宅の安全性の現地調査による現状把握を目的に下記の研究を行い、その成果を発表論文(日本建築学会大会学術講演梗概集・掲載予定)としてまとめた。 現地調査は、2017年11月9日、12月15日、2018年2月8日と1,2ヶ月に1度実施することができた。①に関しては、定期的な常時微動計測を行うとともに10台程度の温湿度計を住宅の各所に設置することで、振動特性の長期的な変化を掴む準備をある程度整えることができたと考えている。また、住宅の基本的な振動特性(固有振動数と振動モード)を得ることが出来た。②に関しては、現地調査にて構造的な観点から平・断面図を描き得られた情報に基づき住宅の耐力や重量を算定し、住宅のベースシア係数や偏心率などの耐震性能を把握することができた。各構面に設置した計測器の常時微動計測結果により得られた振動モードと、住宅の構面ごとのベースシア係数との対応を確認することで、住宅の主屋と下屋が梁間方向では一体的に挙動していない可能性が示唆された。調査対象住宅の耐震性能は低く、ねじれ振動を生じているが、主屋と下屋の一体性を高めれば、耐震性能を高めるとともに偏心を抑えることができる可能性があることがわかっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1~2ヶ月程度の間隔で定期的に常時微動計測を実施するとともに、現地調査により得られた情報から耐震性能評価を実施することができた。また、それらの成果を発表論文として投稿し、研究成果の発表(掲載予定)も行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も継続して常時微動計測を実施し、1年間程度のデータを蓄積するとともに、長期的な振動特性の変化とその要因について分析を行う。
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Research Products
(2 results)