2017 Fiscal Year Annual Research Report
多結晶金属中の転位組織の不均一性とその力学特性への影響
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17H06933
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山崎 重人 九州大学, 総合理工学研究院, 助教 (00804741)
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Project Period (FY) |
2017-08-25 – 2019-03-31
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Keywords | 電子顕微鏡 / 金属 / 強度 / 変形 / 転位 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は走査電子顕微鏡の観察手法の一つである電子線チャネリングコントラスト法を用いて、多結晶金属材料中の転位組織の不均一性を力学特性の関係を明らかにすることを目的としている。平成29年度は、研究試料として多結晶組織を有する固溶強化型ニッケル基合金と分散強化型ニッケル基合金の作製を行った。次いで、固溶強化型ニッケル基合金については結晶粒径を変化させるための熱処理条件の検討を行った。また、熱処理により粒子分散状態を制御した分散強化型ニッケル基合金について、室温にて塑性変形させた後の材料中における転位分布を観察・比較した。その結果、粒子の分散が微細かつ密な場合には転位線が直線的であり、一部に積層欠陥が観察された。一方、粗大で疎な場合には転位線が湾曲し、粒子の周りに転位が堆積する様子が観察された。また、分散状態が疎な場合には積層欠陥は観察されなかった。これは、分散状態に応じて粒子と転位の相互作用様式が異なっており、それに伴って転位組織の発達傾向に違いが生じたものと考えられる。また、多結晶チタン合金に対しての電子線チャネリングコントラスト法による転位観察法の有用性の検討も行い、チタン合金についても転位線を明瞭に観察し得る試料研磨条件と観察条件を見出した。さらに、走査電子顕微鏡観察と集束イオンビーム切削を繰り返すシリアルセクショニング法を適用することで観察視野の三次元情報を取得し、転位組織を定量評価する上で最も重要となる転位密度の測定上不可欠な値である「観察視野の深さ」を実験的に明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
試料の作製、熱処理による組織制御、および作製した試料での電子線チャネリングコントラスト法による転位組織観察に成功しており、研究はおおむね順調に進んでいる。ただし、当初、平成29年度内に実施する予定であったSEM内その場引張試験に関しては、試験片加工が難航したことにより実施が平成30年度5月頃になる予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
早急にSEM内その場引張試験を実施した後、高温変形材の観察に取り組む。また、対応粒界頻度の異なる試料を作製し、SEM-ECCI観察と室温引張試験を実施する。得られた結果を整理し、結晶粒径や隣接粒とのシュミット因子差、粒界性格、粒界または粒界三重点からの距離、および粒子の分散状態などについて着目しつつ、巨視的な力学特性と相関を有する転位組織の不均一性パラメータの探索・抽出する。
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Research Products
(1 results)