2017 Fiscal Year Annual Research Report
PCNAアンローディングをミスマッチ修復機構が制御するメカニズムの解明
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17H06935
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
河添 好孝 九州大学, 理学研究院, 学術研究員 (60805422)
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Project Period (FY) |
2017-08-25 – 2019-03-31
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Keywords | PCNA / ミスマッチ修復 / クランプローダー / ツメガエル卵抽出液 |
Outline of Annual Research Achievements |
複製クランプPCNAは多様な因子の足場として機能し、DNA複製だけではなく、ミスマッチ修復(MMR)機構によるDNA合成エラーの修復にも中心的な役割を果たす。PCNAはRFCによってDNAにロードされ、主にElg1-RFCによってDNA合成完了後の適切な時期にアンロードされると考えられている。一方で、試験管内ではRFCもPCNAのアンローディング活性を示すが、この活性が生体内でどのような機能を持っているのかは明らかではない。また我々はこれまでに、PCNAのアンローディング反応がMMR機構によっても制御を受けることを見出したが、アンローディングのどのステップを阻害しているのかは分かっていない。 本研究者は、クロマチン上からPCNAがアンロードされる際に受けるMMR機構による制御メカニズムを明らかにするために、ヒトPCNAの結合した閉環状プラスミドを作成し、ツメガエル卵抽出液をモデル系に用いて解析を行った。本年度は、ツメガエル卵抽出液からPCNAローダー/アンローダーそれぞれの免疫除去を行い、それぞれのPCNAアンローディングに対する役割と寄与の大きさについて検討した。卵抽出液からElg1に特異的な抗体を用いて免疫除去すると、PCNAアンローディングは大きく遅延した。この反応は、ヒト細胞発現系を用いて粗精製したヒトElg1-RFCを加えると回復した。以上の結果は、他の実験系と一致して、ツメガエル卵抽出液中においてもElg1-RFCがPCNAをアンロードすることを示す。さらに、ミスマッチを認識するMutSαに存在するPCNA相互作用領域周辺のペプチド断片を卵抽出液に加えるだけでも、PCNAアンローディングは遅延した。次年度はペプチド断片を用いた解析をすすめることで、MMR因子とPCNAとの相互作用によってPCNAのアンローディングがどのように制御されるのか解析する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、ツメガエル卵抽出液中で活性を示すヒトElg1-RFCの発現・精製系を確立できた。さらに、Elg1変異体の作成も終了した。PCNAアンローディング反応を試験管内で再構成するためにはさらなるElg1-RFCの精製が必要と考えられるが、最低限度の精製は行えたものと考えている。 MMR機構が阻害するPCNAアンローディングのステップを明らかにするための解析も、合成したペプチド断片を用いることで順調に進んでいる。したがって、本研究計画の目標とする2つの課題に対しての実験系の構築がほぼ完了したと考えると計画通りに研究が進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
Elg1-RFCは卵抽出液中での活性は確認できているが、アンローディング反応を再構成することを考慮すると、さらなる精製が必要となることが予測される。MMR因子がPCNAアンローディングを阻害する過程を明らかにするために、本年度に確立した卵抽出液を用いた実験系に加え、生化学実験のための条件設定が今後の課題となると考えている。また、卵抽出液を用いたPCNAローダー/アンローダーの寄与の大きさを明らかにする解析についても、Elg1-RFCのバックアップ機構などの存在を考慮し、より詳細な分子機構の解析を進めたい。 次年度は計画最終年度であるため、論文投稿に向け結果の取りまとめを行う。
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Research Products
(2 results)