2017 Fiscal Year Annual Research Report
オートファジーによる膵星細胞活性化メカニズムの解明と新規治療開発
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17H06942
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
遠藤 翔 九州大学, 医学研究院, 共同研究員 (20801749)
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Project Period (FY) |
2017-08-25 – 2019-03-31
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Keywords | 膵星細胞 / オートファジー / 癌間質相互作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
膵癌は豊富な間質成分を特徴とし、間質内の膵星細胞は癌間質相互作用によって活性化し、膵癌細胞の増殖と浸潤を促進する。これまでの研究で、膵星細胞を活性化するメカニズムの一つとして、オートファジーが必要であることを報告した。しかしオートファジーがどのような機序で膵星細胞の活性化を誘導するのか、その詳細な機序は未だに不明なままである。 我々はヒト膵癌手術検体から複数の膵星細胞を樹立した。これらは膵星細胞の特徴とされる Myofibroblast様の形態を呈し、α-SMA陽性,Vimentin陽性,CD90陽性,GFAP陽性,nestin陽性,CK19陰性であることを確認した。さらに慢性膵炎などの炎症性疾患や十二指腸癌などの膵疾患以外の患者由来の膵切除標本からも膵星細胞を樹立した。膵癌以外由来の膵星細胞と比較して、膵癌由来の膵星細胞はオートファジー活性が高いことを確認した。また、膵星細胞の活性化を抑制する薬剤を網羅的に探索するために、膵星細胞の活性化を脂肪滴の発現の強度を用いて数値化し、化合物のスクリーニングを実施した。このスクリーニングで得られた化合物を膵星細胞に添加すると、オートファジーマーカーであるLC3の低下、p62の上昇を認めており、オートファジー阻害剤となりうる可能性が高い。今後は、樹立した膵星細胞でオートファジーを誘導し、その活性にかかわる分子や、原因遺伝子の特定を行い、オートファジーが膵星細胞に与える影響について探索する。また、オートファジー阻害剤の候補薬剤の有効性を、膵同所移植モデルや自然発癌マウスを用いて評価する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当科膵癌患者より得られる手術切除標本を用いて、膵星細胞を樹立した。また、膵癌以外の疾患から得られた膵組織でも膵星細胞が樹立できることを確認できた。今後はこれらを用いた実験系をさらに確立していく必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
膵癌由来の膵星細胞と非膵癌病変由来の膵星細胞とのオートファジー活性の差異を確認し た後、これらの膵星細胞における mRNAの発現を網羅的に解析する。さらに、正常膵星細胞に 癌上清を加えてオートファジー亢進と膵星細胞活性化を確認し、これらの条件の差異による mRNAの発現も網羅的に解析する。また、膵星細胞の活性化に関わる分子を標的とした治療法の開発を進める。
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