2017 Fiscal Year Annual Research Report
プラットフォームスイッチングにおける骨吸収抑制因子の解明と最適な臨床応用法の開発
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17H06946
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
松崎 麻貴 九州大学, 大学病院, 医員 (50757987)
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Project Period (FY) |
2017-08-25 – 2019-03-31
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Keywords | インプラント / プラットフォームスイッチング / 三次元有限要素法 / FEM |
Outline of Annual Research Achievements |
欠損補綴治療のオプションとして確立されているインプラントについて機能負荷開始後のインプラント周囲骨吸収が臨床的問題となっている。本研究では、そのような骨吸収を抑制できるとされているプラットフォームスイッチングがどのような機序で骨吸収を抑制するのかについて力学的な観点から明らかにすることを目的としている。 本年は3次元有限要素法を用いて、プラットフォームスイッチングを用いたアバットメントーインプラントの連結体について解析を行うこととした。従来の同様の研究では、インプラント・アバットメント・アバットメントスクリューを一体とした連続型のモデルでの解析が行われてきたが、本研究では骨吸収を抑制する力学的要因をさらに詳細に解析するために、それぞれのコンポーネントが独立するように、境界条件を接触状態とした独立型のモデルを作成した。CADデータの作成に関しては、実在するインプラント体、アバットメント、スクリューの製品をレジン包埋にて標本化、顕微鏡やSEMによる観察、実測を行い作成した。同モデルによると、通常の臨床で行うようにインプラント体およびアバットメントをスクリューで締結した際、スクリュー内部にはスクリューヘッドの固定後、さらなる締結の推進により、スクリュー内部に引っ張り応力が生じることが判明した。また、インプラント体およびアバットメントにはプラットフォームの接触部分にスクリューによって引張られることにより、相反する応力が発生していることが判明した。さらに、骨内に埋入されたインプラント体にそのような応力がかかり、インプラント体の微細な変形が起こった結果、インプラント機能負荷開始後に吸収されるネック部の皮質骨部にある程度の内部応力が生じていることが判明した。今後はプラットフォームスイッチングのシフト量を変えることにより応力の絶対値および付加される場所がどのように変わっていくか調査を進める。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り実在するインプラント体、アバットメント、スクリューの製品からCADモデルを作成し、スクリューで締結した際の応力分布について有限要素解析を行うことができた。有限要素解析ではこのモデルを作成することに時間がかかるため、モデルを作成できたことにより今後の研究は順調に進めることができると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は独立型のモデルを用いてプラットフォームスイッチングのシフト量を変化させることにより、周囲骨およびコンポーネントに生じる応力の大きさや応力が生じる場所がどのように変わっていくかについて解析を行い、プラットフォームスイッチングが骨吸収を抑制する機序を解明していく予定である。
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