2017 Fiscal Year Annual Research Report
基底膜分子ネフロネクチンの機能ドメインを介した歯原性上皮細胞分化制御機構の解明
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17H06951
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
八尋 智映子 (新井智映子) 九州大学, 大学病院, 学術研究院 (60802288)
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Project Period (FY) |
2017-08-25 – 2019-03-31
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Keywords | 歯 / ネフロネクチン / 細胞外マトリックス / 細胞分化 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの研究で、歯の再生に向けたcell sourceの獲得へ向けて、歯原性上皮幹細胞の大量培養法への開発に繋がると考えられる基底膜分子Nephronectin (Npnt)の同定に成功した。Npntはその構成ドメインの一つであるEGF like repeat配列を介してEGFシグナル伝達経路を調節し、歯原性上皮幹細胞の分化、維持に重要な可能性を示してきた。一方でNpntはC末端側にRGD配列を有することから、RGD配列を介したIntegrin シグナルへの関与が示唆される。 そこで本年度はNpntのRGD領域の機能を解明するため、研究を行った。まず、recombinant Npntを培養皿にコーティングし、歯原性上皮幹細胞であるM3H1細胞を播種したところ、細胞接着能が上昇した。この細胞接着はRGD配列と拮抗するRGDペプチドを添加すると抑制されるが、コントロールペプチドであるRGEペプチドを加えても変化が認められなかった。この結果は、Npntの細胞接着活性部位はRGD配列であることが示唆され、Npnt-ingegrin結合が何らかの役割を果たしている可能性が考えられる。そこで、RGD配列を欠失させたNpnt-dRGD発現ベクターを作製し、細胞分化能を検討したところ、Npnt-FL遺伝子導入群ではエナメル芽細胞分化マーカーであるAmeloblastinの発現量が上昇したが、Npnt-dRGD遺伝子導入群では上昇が認められなかった。以上のことから、NpntのRGD領域は歯原性上皮細胞の分化制御を行っている可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
基底膜分子NephronectinのRGD配列の歯原性上皮細胞における分化制御機構の可能性を見出すことができた。これらの結果は実験計画がおおむね順調に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
基底膜分子NephronectinのRGD配列が細胞分化に重要な可能性を示すことができた。この結果はRGD配列を介してintegrinがその刺激の受容を担っている可能性が考えられる。そこで、歯の発生におけるNephronectin結合性integrinの同定を図り、新たな分化機構を解明する。
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