2017 Fiscal Year Annual Research Report
運動器慢性痛対策を念頭においた新たな介護予防プログラムの開発とその効果検証
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17H06959
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
平瀬 達哉 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(保健学科), 助教 (20592752)
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Project Period (FY) |
2017-08-25 – 2019-03-31
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Keywords | 高齢者 / 運動器慢性痛 / 患者教育指導 / 介護予防 / ランダム化比較試験 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,運動器慢性痛を有する地域高齢者に対する運動介入と患者教育指導を併用した介護予防プログラムを開発し,その有効性についてランダム化比較試験で検証することを目的としている.平成29年度は,介護予防事業に参加した地域高齢者225名に対し運動器慢性痛のスクリーニング調査を実施し,その内慢性痛を有する128名を対象者として選定した.そして,対象者を運動介入と患者教育指導を併用する介入群64名と運動介入のみを実施する対照群64名にランダムに分類し,3ヵ月間週1回の介入を実施した.介入群と対照群共通の運動介入については,筋力増強・バランストレーニングから構成された60分間の運動トレーニングを行った.そして,介入群に対しては歩数計を配布し,痛み行動日誌を使用したセルフモニタリングを行った.評価項目は,痛み・運動機能・心理面・身体活動量とし,これらの項目を2群間で比較検討した. その結果,ベースライン時の評価項目の比較では2群間で有意差を認めず,介入による有害事象の発生も認めなかった.介入効果の結果では,運動機能に関しては介入群と対照群ともに介入前と比較し有意に改善していた.一方,介入群では痛みの捉え方が介入前と比較し有意に改善しており,介入後の痛みの程度や身体活動量が対照群と比較すると有意に改善していた.以上のことより,運動介入と患者教育指導を併用した介護予防プログラムは,地域高齢者の運動器慢性痛に対する介入戦略として有効であることが示唆されている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成29年度は98名の対象者(介入群49名,対照群49名)に対する介入を予定していたが,1年間に開催される介護予防教室の数が当初の予定より増加したため,目標とするサンプル数に対する介入研究が実施できている.また,介入による脱落者も少なく,仮説に基づく結果も得られており,良好に経過している.これらの状況より,当初の計画以上に進展しているものと考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は,引き続き介入研究を継続し,サブ解析を含めた詳細なデータ分析を行う予定である.そして,その成果を学会に発表するとともに,論文を執筆し国際・国内雑誌に投稿予定である.加えて,介護予防事業運営の中核を担っている地域包括支援センターや福祉事務所スタッフに対する研究成果報告会を実施する予定である.
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