2017 Fiscal Year Annual Research Report
ポリオールの触媒的非対称化を基盤とした光学活性有機リン化合物の合成研究
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17H06961
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
山本 耕介 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(薬学系), 助教 (40785789)
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Project Period (FY) |
2017-08-25 – 2019-03-31
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Keywords | ポリオール / 銅触媒 / 不斉非対称化 / 有機リン化合物 / 不斉配位子 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は、光学活性ビスオキサゾリン系配位子を有する銅触媒が、ジオール類水酸基の活性化と、その立体選択的修飾反応に極めて有効であることを見出している。この水酸基活性化戦略に立脚し、本研究では、σ対称性ポリオール類の触媒的非対称化を基盤とした、リン酸及びホスホン酸誘導体の不斉合成法開発とその応用を目的とする。以下に、本年度得られた成果を記す。 無置換グリセリンを基質とした不斉モノスルホニル化反応の予備検討において、収率及び立体選択性の改善が課題として挙げられた。本反応の効率化を目指し、反応溶媒、銅塩、および配位子を変更して反応条件の最適化を行った。銅塩のスクリーニングの結果、二価の銅トリフラートが良好な結果を与えることを見出した。さらに、不斉配位子の検討において、配位子上の置換基が目的物の収率及び立体選択性に大きく影響することを明らかとした。この知見を基に、オキサゾリン環上及び架橋部位に様々な置換基を有する新規配位子を設計、合成した。現段階において、予備検討で得られた結果を超えるには至っていないものの、反応性向上に繋がる配位子構造の知見などを得たことは、当該研究を迅速に遂行する上で極めて重要である。また、反応条件の最適化を遂行する中で、ホスホリル化の後、分子内環化反応が連続的に進行することを見出した。本副反応は、モノホスホリル化における収率低下の要因の一つであり、本課題を解決することでモノホスホリル化反応の反応効率が向上するものと期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
反応条件の検討、及び新規配位子の合成を行うにあたり、当初予定していた以上の時間が必要となった。これまで種々の反応条件を検討したものの、現段階において予備検討で得られた結果を超えるには至っていない。そのため、本年度実施予定であったセリノール類への不斉モノホスホリル化反応に関しては、初期検討の段階である。しかし、グリセリン類の条件最適化が完了し次第、速やかに検討することが可能である。両反応共に配位子ライブラリーの拡充を達成したことで、今後最適化は滞りなく遂行可能だと考える。また、本ライブラリーの拡充は、他の新規反応に対するスクリーニングの迅速化に繋がると期待できる。 以上の理由から、当該研究はおおむね順調に進展していると判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
グリセリンの不斉モノスルホニル化反応において、収率、立体選択性共に未だ改善の余地が残されているため、今後反応条件のさらなる最適化を行う。具体的には新規配位子のスクリーニングを中心に検討することを予定している。また、キラルカウンターアニオンの適用も同時に検討する。得られた最適条件を用い、セリノール類の不斉モノスルホニル化を検討する。本年度、副反応として分子内環化反応が進行していることが明らかとなったため、今後は、基質構造や反応剤を変更することも考慮し、当該研究を推進していく。また、本反応の有用性評価のため、生物活性物類縁体の不斉合成研究も検討を行う予定である。これらの検討と並行して、グリセリン及びセリノール類の新規不斉酸化反応の開発も検討する予定である。
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