2017 Fiscal Year Annual Research Report
Lead-free piezoelectric device development by sol-gel composite
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17H06965
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
小林 牧子 熊本大学, 大学院先端科学研究部(工), 准教授 (90629651)
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Project Period (FY) |
2017-08-25 – 2019-03-31
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Keywords | 非鉛 / 圧電材料 / 分極 / パルス電源 |
Outline of Annual Research Achievements |
粉末材料とゾルゲル溶液の組み合わせの検討を行いました。具体的には誘電率が低く、比較的高い圧電特性を持つ非鉛強誘電体粉末材料と、誘電率の高い非鉛圧電ゾルゲル溶液を組み合わせてゾルゲル複合体薄膜を金属基板上に作製し、圧電定数d33、誘電率などの特性を測定したうえで、簡易なデバイスを作製し、材料としての評価を行います。粉末材料ではLiNbO3,CaBi2Ta2O9(CBiTa),CaBi4Ti4O15(CBiTi)Bi4Ti3O12(BiT)を、ゾルゲル溶液ではBaTiO3,BiT,(Ba,Sr)TiO3(BST),SrTiO3,TiO2の検討を行いました。その結果、優れた高温特性をLiNbO3/BiT,CBiTa/BiT,CBiTi/BiT,CBiTi/BST, BiT/BiT, BiT/SrTiO3, BiT/TiO2において確認できました。 また、分極条件の最適化の検討を行いました。ゾルゲル複合体は粉末材料を混合してスプレー塗布するため、薄膜中の粉末材料の分極方向がばらばらであり、そのままの状態では圧電特性を示しません。圧電特性を示すためには、強い電界を薄膜に印加し、分極方向をそろえる、分極、といわれる工程が必要となります。通常の分極では直流電圧を直接印加する方法が用いられておりますが、空孔相をもつゾルゲル複合体でその方法を用いると、空孔相からの絶縁破壊がしばしば発生します。絶縁破壊を引き起こすことなく、分極が困難な材料を分極させるために、パルスレーザプラズマと短パルス超高電界という二つの空間を相乗させた特殊場を用いることで、印加電界を飛躍的に向上させることを期待しました。その結果、従来室温では分極困難であった材料の分極に成功しました。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していたスタート材料以外の材料についても検討を行い、優れた高温特性を確認できました。関連した研究での学会発表も5件行い、そのうち4件は国際学会であり、残り1件は国内学会ではありますが、全国大会での招待講演です。論文も1本アクセプト済みです。1件、特許も出願中であり、海外特許申請助成の申請も認可されました。したがって有用性のある非鉛圧電デバイスの開発に成功したといえます。
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Strategy for Future Research Activity |
作製パラメータのうちスプレー先端部と塗布材料表面との距離、圧力、スピード、塗布時の温度、ゾルゲルと粉の配合比を制御パラメータとし、最適なスプレー工程条件の検討を行います。本検討ではスプレー塗布は手動ではなく、自動スプレーにより行います。作製した膜の膜表面を顕微鏡で観察後、圧電定数d33、誘電率を測定します。膜断面をSEMによる観察を行い、空孔率を算出します。デバイスも作製し、膜特性とデバイス特性との相関性を検討し、最適なスプレー塗布工程を決定します。 次に厚さ数mmのチタン基板上に、選択された材料を最適な配合比で、最適な条件でスプレー塗布工程を行い、最適な条件で分極を行います。その後白金上部電極を作製し、焼成炉中で制御された雰囲気・温度中でパルスエコー法によるチタン基板からの反射波を測定します。600℃超における状態で長期評価を行い、基板の加速酸化による劣化が存在しないことを確認します。鉛を含む既存の材料との比較を行い、デバイス性能が同等以上であることを示します。
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Research Products
(6 results)