2017 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of the role of cancer associated fibroblasts in intratumor heterogeneity of lung adenocarcinoma
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17H06971
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
佐藤 亮 熊本大学, 医学部附属病院, 医員 (10802069)
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Project Period (FY) |
2017-08-25 – 2019-03-31
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Keywords | がん関連線維芽細胞 / 肺腺癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
肺腺癌は腫瘍内不均一性が極めて強く、特に組織亜型の異なる腫瘍組織が混在して存在するという特徴を有している。私たちはマウス実験と癌細胞株を用いた研究により、癌組織内に存在するがん関連線維芽細胞(cancer associated fibroblasts:CAFs)が癌細胞の組織構築変化を誘導する、という実験結果を得ており、CAFsによって生み出される腫瘍内不均一性に着目した研究を行っている。本研究では、CAFsによって誘導される組織構築変化の分子メカニズムを解明し、CAFsと腫瘍細胞の相互作用をターゲットとした新規の治療戦略を構築することを目的としている。 本年度は、今までのマウス実験と癌細胞株を用いた実験で得られている知見が、ヒト肺腺癌組織においても認められる現象であるかを検証するために、ヒト肺腺癌におけるYAPの免疫組織化学染色を行い、組織亜型との関連性を評価した。その結果、ヒト肺腺癌の組織亜型によってYAPの局在が異なる結果が得られ、YAPが組織亜型に影響している可能性を示唆する実験結果が得られた。 また、腫瘍細胞とCAFsの3次元共培養系の評価法の改善に取り組み、live imagingで組織構築の変化を検証できるよう実験系の改良を行った。更に、Tet-Onシステムを用いて、Tgfb1のshRNAの発現誘導ができるCAFs細胞株を樹立した。現在、CAFs由来のTGF-β1が腫瘍細胞の3次元構築変化に及ぼす影響をlive imagingを用いて検証している。 この3次元共培養系の実験系と、in vivoでの実験系の相同性を確認するために、3次元共培養系で培養した腫瘍細胞をセルソーターを用いて分離し、またマウスの腫瘍組織からはレーザーマイクロダイセクション法を用いて腫瘍細胞の分離を行っており、今後回収したRNAを用いて網羅的な遺伝子発現プロファイルの解析を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、がん関連線維芽細胞によって誘導される腫瘍内不均一性のメカニズムを解明し、新規治療戦略開発の基盤を構築することを最終目的としている。 本年度は、臨床検体を用いた解析を進めることで、マウス実験および癌細胞株で得られていたYAPの発現と組織亜型との関連性をヒト肺腺癌組織でも確認することができた。 また、がん関連線維芽細胞と腫瘍細胞の相互作用を検証する3次元共培養系において、live imagingで形態を評価できる手法を開発し、解析スピードの向上を図ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
TGF-βシグナリングはYAPの局在変化を誘導する因子として知られているが、今までの研究によってTGF-βシグナリングが組織亜型変化に関与することを示唆する知見を得ている。今回新たに樹立したTgfb1 shRNAを誘導できるがん関連線維芽細胞株を用いて、TGF-βシグナリングと組織構築変化との関連性を検証していく。 また、現在進めている3次元共培養系とin vivo実験系の網羅的遺伝子発現解析にて、3次元共培養系とin vivo実験系の相同性を確認する。更に、この網羅的解析を通して、がん関連線維芽細胞との共培養によって誘導されてくる遺伝子群を同定し、腫瘍細胞とがん関連線維芽細胞との相互作用をターゲットとした治療実験へ発展させていく。
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