2017 Fiscal Year Annual Research Report
ESSENCE-Qを用いた乳幼児健診の有用性に関する研究
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17H06980
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
畠中 雄平 琉球大学, 法文学部, 教授 (60649846)
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Project Period (FY) |
2017-08-25 – 2019-03-31
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Keywords | ESSENCE-Q / ROC / AUC / 感度 / 特異度 / 陽性的中率 / 陰性的中率 |
Outline of Annual Research Achievements |
対象とした市における2014年4月から2015年3月の母親、保健師、心理士の三者のESSENCE-Qのデータについて解析を実施した。その際、回答のうち“はい”を2、“多分/少し”を1、“いいえ”を0とし、その合計を独立変数とした。データの欠損がある場合には、全体の10%に欠損がある場合には使用せず、それ以外の場合の欠損値は0と見なした。神経発達障害の診断を従属変数として、3者のESSENCE-QについてROC曲線を描き、曲線下の面積(AUC)を比較して、それぞれの有用性について検討した。加えて、ROC曲線から、感度と特異度がともに0.7-0.8、あるいはそれに近い値であり、かつ、感度が特異度より大きいという条件を満たすカットオフ値を探索し、感度、特異度、陽性的中率、陰性的中率を計算した。 1歳半健診における、母親によるESSENCE-QのAUC、保健師によるESSENCE-QのAUC、心理士によるESSENCE-QのAUCは、それぞれ、0.79、0.90、0.87であった。一方、3歳健診では、それぞれ、0.61、0.77、0.85であった。 カットオフ値については、母親によるESSENCE-Qでは1歳6ヶ月健診、3歳健診の双方で、上記の条件を満たすものはなかった。保健師によるESSENCE-Qでは、1歳6ヶ月健診で3(感度0.92、特異度0.79、陽性的中率0.39、陰性的中率0.99)、3歳健診で2(感度0.70、特異度0.67、陽性的中率0.18、陰性的中率0.96)が条件を満たすものであった。心理士によるESSENCE-Qでは、1歳6ヶ月健診で4(感度0.75、特異度0.74、陽性的中率0.30、陰性的中率0.95)、3歳健診で2(感度0.90、特異度0.63、陽性的中率0.20、陰性的中率0.98)が条件を満たすものであった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ESSENCE-Qのデータの収集と解析のためのデータセットの作成が、平成29年12月までかかり、当初の予定より約4ヶ月程度遅れた。その後のデータ解析で1ヶ月ほど遅れを取り戻した。しかし、3歳健診における保健師のESSENCE-Qの結果が、申請者自身の先行研究と異なることについての考察を行うために、追加の情報(健診に参加した保健師の人数、それぞれの保健師と健診参加者のマッチング、など)が必要となったため、現在その収集を行っているところであり、当初の研究計画からはやや遅れた状態が継続している。
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Strategy for Future Research Activity |
ESSENCE-Qを用いた乳幼児健診の有用性についての研究の論文化と学術雑誌への投稿は、追加の情報を加味したデータの解析を再度行った上で考察を加えた上で今年度前半に行う。早期の粗大運動の遅れと発達障害の関係についての研究は、平成30年8月までにデータの収集を行い、その後データの解析を行った上で、本年度中の論文化と学術雑誌への投稿を目指す。
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