2017 Fiscal Year Annual Research Report
造血幹細胞移植を受ける患者の臨終期において臨床看護師が抱える困難感
Project/Area Number |
17H06989
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
大庭 貴子 首都大学東京, 人間健康科学研究科, 助教 (90803099)
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Project Period (FY) |
2017-08-25 – 2019-03-31
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Keywords | 造血幹細胞移植 / 臨床看護師 / 臨終期 / 看取り看護 / 困難感 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は, 造血幹細胞移植(Hematopoietic Cell Transplantation:以下HCT)を受ける患者の臨終期において, 臨床看護師が抱える困難感を明らかにすることである. HCTは, 薬剤投与で根治が難しい血液癌等に対して, 完全寛解を望める有効な治療手段であり, その件数は治療改善等に伴い年々大きく増加している. その一方で, HCTは大量の抗癌剤投与や, 全身照射を行う攻撃性の高い治療でもあり, 現在でも治療関連死は該当疾患の死因の約6割を占める (日本造血幹細胞移植データセンター,2016). 今後はさらなる移植件数の増加と共に, 受療患者の高齢化やハイリスク患者へのHCT施行もまた増加していくことが予想される. しかし, HCT領域における看護研究は, 近年徐々に増えつつあるものの, 現時点ではその蓄積はまだ非常に少ない. 複雑な治療をしながらも臨終期の看護支援も多く求められるこの領域において, 患者支援の質向上のためにも臨床看護師がHCT受療患者の臨終期に抱える困難感や看護支援について調査を進めていく必要がある. 本年度は, 当初の研究計画に基づき,HCTを受ける患者の臨終期において臨床看護師が抱える困難感について, HCT実施病棟に勤務する臨床看護師10名に半構成的インタビューを行った. 対象者は男性3名, 女性7名で, 臨床経験年数8.1±2.31年(平均値±標準偏差, 以下同), HCT病棟経験年数5.6±1.63年であった. インタビュー調査の結果, 実際対象者数全員がHCT患者の臨終期の看護で困難感を抱えており, 疾患の特性や患者の年齢層の若さからの迷いや悩み, 支援の難しさ等様々な困難感を抱いていた. さらにその内容について内容分析で検討した結果, 「治療期と終末期の不明瞭さ」「患者家族への支援の難しさ」など6のコアカテゴリーが抽出された. 今後はさらに分析, 考察を進め, 関連学会への発表, 及び投稿をしていく予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度(平成29年度)予定していたインタビュー調査によるデータ収集が予定数まで到達しており, 分析・考察へ進めている為上記とした.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の調査結果をもとに造血幹細胞移植を受ける患者の臨終期において臨床看護師が抱える困難感に関する質問紙を作成し, 全国の造血幹細胞移植実施施設を母集団として質問紙調査を行う予定である, また、本年度の調査結果については関連学会での発表及び論文投稿を予定している為, 並行して準備を進めていく予定である.
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