2017 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17H06990
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
爲重 才覚 横浜市立大学, 木原生物学研究所, 特任助教 (20725006)
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Project Period (FY) |
2017-08-25 – 2019-03-31
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Keywords | 植物発生学 / EcoDevo / 葉形態 / 温度 / natural variation |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はアラビドプシス属(Arabidopsis thaliana, Arabidopsis kamchatica, Arabidopsis lyrata, Arabidopsis halleri)とコムギ(Triticum aestivum)を複数の温度で栽培し、温度変化に伴う葉の形態可塑性を評価し、その遺伝子基盤に迫ることを目標としている。平成29年度実績としては、対象植物の栽培方法の検討、栽培設備の整備を進めた。 栽培方法の検討のため、一般的な人口気象器での、21℃での栽培に加えて、低温での比較可能な栽培条件を検討した。一般的な人工気象器では、13℃程度までの温度を下げて栽培できることを確認したが、それ以下には下げられなかったことから、4℃の低温室内に植物栽培棚を設置して栽培設備を整え、Arabidopsis thalianaが開花・結実する程度に育てられることを確認した。 また、Arabidopsis kamchatica の発芽率が低く十分量の栽培個体数が得られないという問題が生じた。その改善のため発芽条件の検討を行った。Arabidopsis thalianaおよびlyrataでは、一般的に実験用の栽培に使用されるMS栄養塩を含む寒天培地よりも、純水と寒天で作製した培地上の方が発芽率がやや高いことを確認したが、Arabidopsis kamchatica の発芽率は以前低いものであった。次にArabidopsis thalianaで発芽促進活性が知られるストリゴラクトンを投与したが、明確な発芽促進活性は見られなかった。 また、形態の比較に適した葉の発生段階を調べたところ、成熟しきっていない比較的小さい時期の葉が、同系統内でのバラツキが少なく形態の比較に適していることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画では、シロイヌナズナの多系統での栽培および葉の形態データ取得を平成29年度から開始し詳細な解析に適した系統の選抜を目標としていた。しかし、当該年度内に栽培設備の整備と栽培、播種条件の検討に予定以上に時間がかかったため、栽培環境を整えるにとどまった。
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Strategy for Future Research Activity |
研究のための環境整備に時間がかかったため、当初の研究計画に遅れは生じているが、研究内容の計画自体に大きな変更はない。平成30年度においても、計画に従って引き続きアラビドプシス属およびコムギの多系統を複数の温度で栽培し、葉の形態データを取得、温度による形態変化の定量解析を進める。 なお発芽率の低さからデータ取得が難しい植物系統については、引き続き既知のホルモン投与などの発芽刺激方法を試してみるが、発芽率の改善が見られない系統は解析対象から外すことで対応する。この少数の系統を解析対象から外すことは、本研究の主要な目標である葉の形態変化の多様性を評価し、その遺伝子基盤に迫るという点では、大きな問題ではないと考えている。
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