2017 Fiscal Year Annual Research Report
選択的受容体機能調節因子に着目した高血圧の新規治療戦略
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17H06993
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
小林 竜 横浜市立大学, 医学部, 助教 (60805612)
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Project Period (FY) |
2017-08-25 – 2019-03-31
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Keywords | レニンアンジオテンシン系 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者らの研究グループでは,これまで明らかにしてきた機能選択的受容体制御因子であるATRAPに関して、白血球・免疫系細胞に焦点をあてた機能解析を行い,成果を論文化するに至った. 白血球レニン-アンジオテンシン系(RA系)の生活習慣病あるいは臓器障害への関与が注目されているが,研究代表者らの研究グループは,白血球におけるATRAPの発現と機能に関して検討した結果,白血球において単球を中心にATRAPが発現していることを解明し,高血圧関連生活習慣病患者では,白血球ATRAP発現と炎症が強く相関しており(p=0.024),AT1受容体,ACRやプロレニン受容体などの他の主要なRA系構成要素よりも鋭敏に生活習慣病病態下における全身及び局所での炎症と強く相関することが示された.さらに、骨髄移植を用いることで,白血球ATRAPをノックアウトしたモデルマウスを作製し,白血球 ATRAPは生活習慣病における微小炎症を模倣した低用量リポポリサッカライド(LPS)投与による,白血球局所炎症の亢進を抑制する作用を有することを明らかにした.(Haruhara, et al. Atherosclerosis 2018). 生活習慣病患者において高LPS血症を始めとする慢性炎症が病態の基盤になることが指摘されており,白血球ATRAPの持つ抗炎症作用は,生活習慣病病態における新規治療ターゲットとして有望と思われる.しかしながら,白血球・免疫細胞ATRAPの生活習慣病病態における病態生理学的意義は未解明の点が多いため,今後も検討を進めていく予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
近位尿細管特異的ATRAP欠損マウスに対してアンジオテンシンII刺激などを与えて,血圧に与える影響について実験は施行済みであり,他の刺激モデルと合わせて論文化を検討している.
また,中枢におけるATRAP高発現が血圧に与える影響についても検討しており,現在は主に酸化ストレスの評価などを中心に行っている.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,白血球ATRAP遺伝子改変モデル(骨髄移植モデルも含む)をもちいて、高血圧促進刺激(アンジオテンシンIIや高塩分、高脂肪食負荷など)を行い、白血球ATRAPのさらなる機能解析を行う. 同時並行で,近位尿細管ATRAP発現制御マウスを用いて、高血圧促進刺激(AngIIや高塩分、高脂肪食負荷など)を行い、近位尿細管ATRAPの機能解析を進めていく予定である.
中枢でのATRAP高発現が血圧に与える影響についても機序について解析をすすめていく.
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