2017 Fiscal Year Annual Research Report
体細胞モザイク変異を原因とする脳奇形の遺伝的原因の解明
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17H06994
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
藤田 京志 横浜市立大学, 医学研究科, 特任助手 (20805113)
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Project Period (FY) |
2017-08-25 – 2019-03-31
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Keywords | 視床下部過誤腫 / 限局性皮質異形成 / 次世代シークエンス / 体細胞変異 |
Outline of Annual Research Achievements |
難治性てんかんを発症する視床下部過誤腫 (Hypothalamic hamartoma, HH) または限局性皮質異形成 (Focal cortical dysplasia, FCD) の原因となる脳組織特異的な体細胞変異を検出し新規疾患責任遺伝子を同定することを目的として解析を行なっている。 HHについては合計45症例集積しており、変異が未同定または新規症例の過誤腫サンプルがある15例に対して分子バーコードを用いたターゲットキャプチャーにより変異アレル頻度0.5%以上の体細胞の変異検出を実施した。さらに当初の予定を早めて変異が認められなかった13例の過誤腫サンプルに対してマイクロアレイによる解析を実施した。マイクロアレイでは2名に過誤腫組織特異的なヘテロ接合製の消失 (Loss of heterozygosity, LOH)を認め、1名に生殖細胞系列のLOHを認めた。過誤腫組織特異的なLOHを認めた1名についてはその領域の変異を確認したところ、HHの既知疾患責任遺伝子に関連したソニックヘッジホッグパスウェイに影響があると考えられる新規疾患責任遺伝子に変異が認められた。他の症例で同じ遺伝子に変異がないか確認したところ、生殖細胞系列と過誤腫組織にそれぞれ1つずつ変異が認められ、合計で2名に同じ遺伝子の変異を認めた。上記の新規疾患責任遺伝子について現在論文を作成し、投稿予定である。 FCDは現在49症例集積しており、今年度は新規症例が11症例であった。そのうち脳組織サンプルのある8例に対してはHHと同様に分子バーコードを用いたターゲットキャプチャーを実施し、そのうち約半数は既知の疾患責任遺伝子に変異を認めている。現在ターゲットキャプチャーで変異を認めない症例に対して新規疾患責任遺伝子を検出する目的で血液と脳組織のペアサンプルで全エクソームシークエンスを実施し、解析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
視床下部過誤腫においては次世代シークエンスとマイクロアレイの結果から新規疾患責任遺伝子を同定し、論文を作成しており予定通りに研究が進んでいる。限局性皮質異形成もターゲットキャプチャーが終了し血液と脳組織のペアサンプルの全エクソームシークエンスを解析しており、当初の計画通りに進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
視床下部過誤腫については本研究で同定された新規疾患責任遺伝子から疾患の原因となる候補遺伝子を抽出しターゲットキャプチャーにより頻度の低い変異に対して解析を実施していく。限局性皮質異形成については全エクソームシークエンスの結果から新規疾患責任遺伝子を同定する。また、候補変異を認めない症例に対しては遺伝子コピー数異常とヘテロ接合性の消失の検出を目的にマイクロアレイを実施する。
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