2017 Fiscal Year Annual Research Report
新規極性制御因子による栄養膜細胞の物質交換および増殖を制御するメカニズムの解明
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17H06995
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
田村 可奈 横浜市立大学, 医学研究科, 特任助手 (70807461)
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Project Period (FY) |
2017-08-25 – 2019-03-31
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Keywords | 合胞体栄養膜細胞 / 胎盤 / 細胞極性 / aPKC |
Outline of Annual Research Achievements |
上皮細胞には体外側(Apical側)と体内側(Besal側)という方向性があり、これをApico-basal極性という。この極性のApical側を規定する因子の一つとしてaPKCが知られている。KIBRAL/Wwc2は、解析が進んでいない機能未知のタンパク質である。これまで申請者がKIBRALのノックアウトマウスの作製および解析を行ったところ、E11.5において100%胎生致死であることが明らかとなった。胎生致死の原因を探るため、抗PECAM-1抗体を用いて胎児および胎盤の血管形成状態を解析した結果、KIBRALノックアウト胎盤において形成異常を示すことが明らかとなった。さらに詳細に解析したところ、野生型では栄養膜細胞層に線上のaPKCの強い染色が確認できたのに対し、KIBRALノックアウトマウス胎盤ではその染色が失われることがわかった。 本年度は、免疫染色法を用いることで胎盤においてaPKCの強い染色を示す細胞が合胞体栄養膜細胞I (SynT-I細胞) であることがわかり、この細胞の胎児血側にaPKCが強く局在することが明らかとなった。さらに、この局在がKIBRALノックアウトによって失われ、母体血-胎児血極性異常が生じることによりグルコーストランスポーターや膜局在タンパク質の局在異常が生じることがわかった。aPKCの胎児血側局在は、上皮細胞においてアピカル側に局在することが報告されている因子とKIBRALを介して結合することで生じることが示唆される結果が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題について本年度は、当初の研究計画にある『aPKC を介したKIBRAL KO 合胞体栄養膜細胞の極性制御機能』および『KIBRALを介した合胞体栄養膜細胞の物質交換機能解析』をほぼ達成した 。おおむね順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度までに得られた結果の再現実験を行い、さらに、SynT-I細胞の母体血-胎児血極性が形成されるpolarity cueが何なのか、胎盤よりSynT-I細胞とSynT-II細胞を採取しこれらを使用することで解析を進めていく方針である。
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Research Products
(1 results)