2017 Fiscal Year Annual Research Report
幼児の投・跳動作における定位・分化能力の発達 ―運動遊びプログラムの効果の検討―
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17H07006
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Research Institution | Aichi Prefectural University |
Principal Investigator |
加納 裕久 愛知県立大学, 教育福祉学部, 客員共同研究員 (00808579)
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Project Period (FY) |
2017-08-25 – 2019-03-31
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Keywords | 幼児 / コオーディネーション能力 / 定位能力・分化能力 / 運動遊び / 投動作 / 跳動作 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,幼児期の定位・分化能力を測定するテストの開発,実施及び発達を促す運動遊びの理論的・実証的分析を行い,①幼児期の定位・分化能力の発達的特性を明らかにし,②それらの能力を形成する発達特性に適した運動遊びプログラムを構築することにより,幼児期における発育発達の問題解決に寄与することである。そのために,Ⅰ.投動作に関する定位・分化能力の発達に効果的な運動遊びの理論的・実践的解明,Ⅱ.跳動作に関する定位・分化能力の発達的特性の解明という2つの研究課題を設定し研究を展開する。 平成29年度は,投動作に関する定位・分化能力の発達的特性を明らかにしたこれまでの研究成果を継続し,Ⅰの研究課題に取り組んだ。平成29年度の成果は,第1に,運動遊びプログラム作成のために「加納裕久(2018)幼児期における定位能力・分化能力の発達と運動遊びとの関連:保護者への調査を対象にして.人間発達学研究,(9),57-64」をまとめた。そこでは,コオーディネーションテストとアンケート調査の結果から,ボール遊びと鉄棒を合わせて行うことが,投動作における定位・分化能力の発達に影響を与えていることが明らかとなった。この結果をもとに現場との検討を重ね,運動遊びを介入した。第2に,運動遊び介入結果を「加納裕久他(2017)幼児期の投運動における定位能力・分化能力の発達的特性:運動遊びの介入が与える効果に着目して,スポーツ健康科学研究,39,9-17」としてまとめた。そこでは,(1) 4歳半前後の幼児に対しボール遊びや鉄棒遊びを介入することで投動作における定位・分化能力の発達が促されること,(2) 性別や年齢層によって運動遊びの質を変えることにより,定位・分化能力の発達に効果が現れることが明らかとなった。とりわけ鉄棒を握る力の調整がボールリリース時のコントロールに関係があるのではないかと示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度は,Ⅰの研究課題「投動作に関する定位・分化能力の発達に効果的な運動遊びの理論的・実践的解明」を中心に研究を行った。とりわけ「的当て遊びと鉄棒遊びプログラムの作成」,「保育現場における運動遊びの介入」,「運動遊びの効果の分析」の3つの作業課題が中心となった。これらの結果から,運動遊びプログラム作成のために(1)「加納裕久(2018)幼児期における定位能力・分化能力の発達と運動遊びとの関連:保護者への調査を対象にして.人間発達学研究,(9),57-64」をまとめ,さらに運動遊び介入結果を(2)「加納裕久他(2017)幼児期の投運動における定位能力・分化能力の発達的特性:運動遊びの介入が与える効果に着目して,スポーツ健康科学研究,39,9-17」としてまとめた。 また,平成29年度はⅠの研究課題と並行して,Ⅱの研究課題「跳動作に関する定位・分化能力の発達的特性の解明」の作業課題である「跳動作に関する定位・分化能力のコオーディネーションテストの検討」に取り組んだ。コオーディネーションテストを検討するため,ドイツのコーディネーション理論における文献や資料の整理を行い,妥当だと考えられるテストを抽出したが,予備テストの実施,コオーディネーションテストの適正を十分に検証することができなかった。そのため,平成30年度に跳動作に関するコオーディネーションテストの検討を行い,保育現場において実施していく。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度には,Ⅱの研究課題「跳動作に関する定位・分化能力の発達的特性の解明」を中心に研究を行う。まず第1に,平成29年度からの継続課題である「跳動作に関する定位・分化能力のコオーディネーションテストの検討」を行う必要がある。検討にあたっては,ドイツのコーディネーション理論における文献や資料を中心に妥当だと考えられるテストを抽出し,予備テストの実施を経て,コオーディネーションテストの適正を検証する。検討内容の一部については,日本体育学会第69回大会にて発表予定である。第2に,跳動作に関する定位・分化能力の発達的特性を明らかにすべく,保育現場において3~6歳の幼児を対象にコオーディネーションテストの実施及び保護者対象にアンケート調査を実施する(2018年6月~8月予定)。実施にあたり,所属大学の研究倫理審査委員会にて倫理審査を受け,承認を得る予定である。第3に,コオーディネーションテスト結果より跳動作に関する定位・分化能力の発達的特性を検討,考察する。そして,コオーディネーションテストとアンケート調査の結果より,跳動作に関する定位・分化能力の発達に影響を与えている運動遊びについて明らかにする。これらの結果は,学会や学術論文で発表予定である(2019年3月予定)。
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