2017 Fiscal Year Annual Research Report
Biological mechanism of novel sarcopenia related microRNA
Project/Area Number |
17H07012
|
Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
橋本 善隆 京都府立医科大学, 医学部附属病院, 研究員 (70806140)
|
Project Period (FY) |
2017-08-25 – 2019-03-31
|
Keywords | サルコペニア / microRNA |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者らのグループではアンドロゲンとサルコペニアとの関係に着目している。サルコペニア発症のメカニズムにmicro RNAが関与しているのではないかと考え、アンドロゲン欠乏による筋萎縮に関与する候補micro RNAとして筋委縮への関与の既報があるmiR-133a, miR-1a, miR-206を含む7つのmicro RNAを明らかとしている。本研究ではこれらのmicro RNAであるmir-Xの一つであるmir-23bに着目し、生物学的機序を明らかにすることを目的として以下のような検討を実施した。
①マウス筋芽細胞であるC2C12細胞を用いて筋芽細胞から筋管細胞への分化誘導に関してmir-23bのmimicおよびinhibitorを用いて検討した。ミオシンの免疫染色によりmir-23bのmimic投与によってミオシン重鎖が増加し、inhibitor投与ではミオシン重鎖が抑制されていることを確認した。この結果からはmir-23bが筋芽細胞から筋管細胞への分化を誘導する効果を有することが確認された。
②さらに筋管細胞への分化誘導の機序解明を目的として筋たんぱく質合成シグナルへのmir-23bの影響を検討した。PTENの発現がmir-23bのmimicでは抑制され、inhibitorでは増加を認めた。さらに筋たんぱく質合成シグナルであるAktやmTORのリン酸化がmir-23bのmimic投与では促進されていることをウエスタンブロットにて確認した。この結果からはmir-23bが筋たんぱく質合成を促進する生物学的機序としてはPTENの抑制を介しAkt、mTOR経路を活性化することで行われることが確認された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通りmiR-23bの生物学的機序についてin vitroにて明らかとできているため。 具体的にはマウス筋芽細胞であるC2C12細胞を用いて筋芽細胞から筋管細胞への分化についてmir-23bのmimicおよびinhibitorを用いて検討した。mir-23bのトランスフェクションによってミオシン重鎖が増加し、inhibitor投与では抑制されていたことより、mir-23bによる筋管細胞への分化誘導効果を確認した。 さらにその機序の解明を目的にmir-23bによる遺伝子発現を検討したところ、PTENの発現がmir-23bのmimic投与では抑制され、inhibitor投与では増加を認めた。さらに筋たんぱく質合成シグナルのPTENの下流であるAktやmTORのリン酸化がmir-23bによって促進することをウエスタンブロットで確認した。
|
Strategy for Future Research Activity |
申請者は新規サルコペニア関連microRNAであるmiR-23bの役割に関してin vitroにて明らかとした。今後はこのmiR-23が人でも発現しており、サルコペニアと関係しているかを実際の糖尿病患者で検討する。(Human study) 申請者のグループで実施している糖尿病患者のコホート研究に登録されている患者の血清でmiR-23bをはじめとしたmicro RNAを測定し、骨格筋量や握力およびサルコペニアの有無との関連を検討することで、実臨床におけるマーカーとなりうるかを検討する。 保存血清からのmicroRNAの抽出はmirVana miRNA Isolation Kitを用いる。ヒト血清検体の内因性コントロールとしてmiR-39を定量する。miR-23b/ miR-39とともにmiR-133a/ miR-39,miR-1/ miR-39も定量的に評価を行う。 対象者をサルコペニア群、非サルコペニア群に分け、miR-23b/ miR-39、miR-133a/ miR-39、miR-1/ miR-39のサルコペニアに対する診断能を、ROC曲線を描き、AUCを測定することで評価する。 上記にてmir-23bの実臨床における有用性について明らかにする。
|