Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,在宅生活中および入院/入所中の認知症者におけるADL障害に関連する要因を重症度別に明らかにすることを目的としていた。H29年度は, 各評価指標とADLとの関連性を重症度別に横断的に関連性を調査することとしていた。 現在集まった対象例は, 軽度認知症7名, 中等度認知症20名, 重度認知症53名であった。各評価指標の平均については, 年齢: 85.5±7.2歳, MMSE: 9.8±6.1点, ADL:N式老年者用日常生活動作能力評価尺度(N-ADL):13.6±7.4点,兵庫脳研式ADL尺度 (HADLS ※IADLを除く): 34.4±8.2点, NPI-NH 12.1±13.8点, PAIN-AD: 1.2±1.4点, MNA-SF: 7.8±2.5点,BMI: 19.8±4.6点, CCI: 2.5±1.4点, QoL-AD ※家族, 友人, 結婚, お金の項目は除く :17.9±3.6点,QUALID: 27.7±7.3点であった。また, ADLとの関連性について, HADLSと評価指標との相関分析を実施したところ, 年齢, CCI, NPI-NHを除くすべての指標と有意な相関を認めた(ρ=0.315-0.739; Spearman順位相関係数 p<0.001 ) 。なお, 平均活動量についてはアクティグラフが装着可能であった, 中等度認知症12名, 重度認知症33名で解析し, 平均活動量が 83.1±32.1(count/min)であった。HADLSとの関連性については, 有意な相関は認めなかった。つまり, 認知症のADLは, 並存疾患や行動心理学的症候の重症度とは関連性はなく, 認知機能や栄養状態, 痛みと関連性が高いことが考えられた。現在は, 単純相関だけで, 重度認知症が対象者の多くを占めているため, 今後さらに症例数を増やして分析する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
アクティグラフは各対象者に1回の評価につき最低5日間以上連続して装着することが推奨されており,1人の患者あたり1週間装着することとしているが, 実際には装着後数日の間で装着忘れや夜間の不快感などによる装着拒否などもあり, 対象例が集まっていない。また, H29年度では, 病院入院患者を対象としているため, 対象施設の特性によるものではあるが軽度例の数が少ない状態である。
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