2017 Fiscal Year Annual Research Report
足関節底屈筋機能の包括的な定量的評価法の開発と慢性足関節不安定症の病態解明
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17H07049
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Research Institution | Hokkaido Chitose College of Rehabilitation |
Principal Investigator |
小林 匠 北海道千歳リハビリテーション大学, 健康科学部, 准教授 (90774711)
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Project Period (FY) |
2017-08-25 – 2019-03-31
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Keywords | 理学療法学 / リハビリテーション評価学 / 足関節捻挫 / 慢性足関節不安定症 |
Outline of Annual Research Achievements |
【研究1】 192名380足を対象に新たに開発した足関節底屈筋力検査法(Plantar flexion break test; PFBT)の信頼性を検証した。足関節底背屈最大可動域,PFBT,踵挙上回数(徒手筋力検査法)を測定した。その結果,PFBT陽性群は陰性群より有意に底背屈可動域が小さく,踵挙上回数も有意に少なかった。また,PFBTの検者内信頼性は高かったが,検者間信頼性は不十分だった。PFBTは徒手筋力検査法より簡便であり,両者の関係性は高いと考えられるが,筋の収縮様式の違いから異なる筋機能を評価している可能性も考えられた。本研究結果は,国内の学会および学術誌にて公表済みである。今後,PFBTの判定基準や抵抗負荷の強度などに改良が必要と考えられ,平成30年度以降にさらなる検証を進める予定である。 【研究2】 健常群20名,慢性足関節不安定症(Chronic ankle instability; CAI)群20名を対象として,PFBTと足関節最大底屈位での最大等尺性収縮時の底屈トルクおよび腓腹筋の筋弾性をトルク測定器および超音波剪断波エラストグラフィを用いて計測した。その結果,CAI群ではPFBT陽性率が高く,最大底屈時の腓腹筋内側頭の筋弾性が高かったが,底屈トルクに有意差は認められなかった。CAI群では足関節最大底屈位における底屈トルク発揮に腓腹筋が過剰に収縮しており,ヒラメ筋など他の底屈筋群の機能を代償している可能性が推察された。今後,他の測定肢位やヒラメ筋の筋弾性特性も含めた,さらなる検証を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新たな足関節底屈筋力検査法の信頼性検証に関しては,課題は残っているものの,順調に進んでおり,研究結果の一部は学会発表,論文投稿済みである。また,慢性足関節不安定症患者を対象とした”筋力”・”筋活動”・”筋弾性”の調査に関しては,”筋力”・”筋弾性”の側面に関するデータの測定・解析を進めている段階であり,予定通り遂行できているため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,新たな足関節底屈筋力検査法の改良を検討するとともに,慢性足関節不安定症を対象とした”筋力”・”筋活動”・”筋弾性”のさらなる追求を行う予定である。具体的には,肢位や運動の違いによる足関節底屈筋機能の変化を,トルク測定器や表面筋電計,超音波剪断波エラストグラフィを用いて複合的に調査し,成果を学会および国内外の論文にて公表する予定である。
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