2017 Fiscal Year Annual Research Report
サルコペニアと低栄養の合併が施設入所要介護高齢者の有害事象に与える影響
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17H07067
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Research Institution | Japan University of Health Sciences |
Principal Investigator |
加茂 智彦 日本保健医療大学, 保健医療学部理学療法学科, 助教 (80802909)
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Project Period (FY) |
2017-08-25 – 2019-03-31
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Keywords | サルコペニア / 低栄養 / 施設入所者 / 要介護 |
Outline of Annual Research Achievements |
施設入所高齢者ではサルコペニアや低栄養が多く認められ,転倒や身体機能の低下,ADL低下,死亡率の増加との関連が指摘されている.しかし,先行研究のほとんどがサルコペニアもしくは低栄養単独での有害事象のリスクを検討しており,サルコペニアに低栄養が合併した場合のADL低下や死亡のリスクは不明である.本研究の目的は①施設入所している要介護高齢者の低栄養サルコペニアの割合・要因を明らかにすること②1年間の前向きコホートを実施し,低栄養サルコペニアが転倒,ADL低下の有無,死亡の有無などの有害事象に与える影響を明らかにすることである. 平成29年度は施設入所している要介護高齢者250名を対象に身体機能、認知機能、栄養状態、ADL、サルコペニアの有無の測定を実施し、観察を開始した。対象者の平均年齢は86.4±7.7、BIスコアは40.6±30.1、SPPBスコアは1.7±2.8、MNA-SFスコアは7.8±2.4、MMSEスコア12.0±9.6であった。サルコペニア群の平均年齢は85.6±7.4、BIスコアは38.0±29.7、SPPBスコアは1.4±2.7、MNA-SFスコアは7.8±2.4、MMSEスコア11.6±9.4であった。非サルコペニア群の平均年齢は87.1±7.8、BIスコアは42.8±30.3、SPPBスコアは1.9±2.9、MNA-SFスコアは7.8±2.4、MMSEスコア12.3±9.7であった。サルコペニアの割合は112名(44.8%)であった。低栄養の割合は107名(42.8%)、サルコペニアと低栄養を合併している人の割合は48名(19.2%)であった。サルコペニアや低栄養の割合は先行研究とほぼ一致する結果となった。引き続き、有害事象の追跡を行っていく必要があると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在は計画通り進んでいる。データ測定はほぼ終了している。今後は当初の計画通り、引き続き、有害事象の追跡を行うとともに、学会発表や論文投稿などを行っていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
29年度に実施した研究課題は30年12月のアジアリハビリテーション科学学会で発表すべく演題登録する予定である。30年度の研究課題は、低栄養とサルコペニアの合併が有害事象のリスクに影響を与えるかどうかを検討する。29年度から引き続き有害事象の測定を行う。当初の予定では有害事象のリスクとして、ADL低下の有無も上げていたが、その他有害事象の割合が予想より多いため、ADL低下の有害事象は除外する。有害事象の測定は予定では6月頃に終了予定のため、その後、データ解析、学会発表、論文投稿を行っていく予定である。
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