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2017 Fiscal Year Annual Research Report

絵本の種類が養育者の絵本に対する期待や読み聞かせ行動に与える影響に関する研究

Research Project

Project/Area Number 17H07071
Research InstitutionSeitoku University

Principal Investigator

齋藤 有  聖徳大学, 児童学部, 講師 (60732352)

Project Period (FY) 2017-08-25 – 2019-03-31
Keywords絵本 / 絵本の種類 / 養育者の期待 / 読み聞かせ行動 / インターネット調査 / 絵本の種類分類 / 相互作用 / 観察
Outline of Annual Research Achievements

絵本の読み聞かせに関する心理学的研究では,絵本を読んでいる間の養育者と子どもの相互作用の質や,その質と子どもの発達との関連について検討が進められている。しかし,市場にさまざまな絵本がある現在,そこで読まれる絵本によっても,相互作用の質や子どもの発達は異なると考えられるが,絵本の種類を要因とした体系的な研究は少ない。
そこで平成29年度は,絵本の種類によって養育者の絵本に対する期待や読み聞かせ行動が異なることの示唆を得るため,東京都内の子ども園で0-5歳児をもつ養育者への質問紙調査(39家庭)および面接調査(6家庭)を実施した。結果,絵本一般には「知識・教養」よりも「親子のふれあい」が期待されるのに対し,自宅にある絵本に対する期待を個別具体に尋ねると,「親子のふれあい」よりも「知識・教養」が挙げられやすいことが明らかになった。この点をさらに深めるため,乳幼児をもつ保護者1000名にインターネット調査を実施し,絵本一般に対する期待と読み聞かせ行動とともに,最近購入した絵本1冊とその絵本に対する期待や読み聞かせ行動について尋ねた。現在は,そこで得られた約1000冊の絵本を種類分類する作業を実施しており,その分類が終了次第,絵本の種類と期待や読み聞かせ行動との関連を検討する予定である。
また,平成29年度は,絵本を読んでいる際の養育者と子どもの相互作用の特徴を絵本の種類という観点から検討するため,子どもの「探索の指さし」が期待される絵本「きんぎょがにげた(福音館書店)」を母子が1ヶ月間繰り返し読む場面の観察データ(9家庭)の分析も行った。結果,母親が子どもの反応の中でも探索の指さしを促したり強化したりすることで子どもの探索の指さしが形成されていく事例が複数得られた。現在は同じ母子が他の絵本を読んでいる際の相互作用についても分析し,比較検討を進めているところである。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本研究は,絵本の種類が養育者の期待や読み聞かせ行動に与える影響について検討することが課題であったが,平成29年度に行った質問紙調査および面接調査で実際に0歳児から5歳児までの子どもをもつ家庭で養育者が選び,購入している絵本データを収集したところ,その絵本は多種多様で,計画段階で想定していたような,物語絵本,図鑑絵本,言葉遊び絵本,知識絵本といった基本分類は難しく,絵本の種類分類という点では当初の計画よりも時間を要しているのが現状である。
しかし平成29年度は養育者がどのような観点でどのような絵本を選んでいるのかということに関する質的なデータを収集したことで,絵本の種類を分類する際には,絵本の形式的な面で一義的に行うのでなく,機能的な面での分類も行う必要性があるなど,これまでにない視点を得ることができた点は成果と考えられる。
また,絵本の種類分類はまだ完成していないものの,平成29年度は,絵本一般に対する期待や行動と,個別具体の絵本に対する期待や行動には差異があることを明らかにし,絵本を読んでいる間の養育者と子どもの相互作用に着目する際に,そこで読まれている絵本を考慮する必要性は示唆できたものと考えている。
さらに観察データにおいても,探索絵本という絵本の種類によって母親が期待する子どもの反応があり,それが母親の関わりを規定することについても具体的な事例から捉えることができた。この点については成果発表もすでに行っており,平成29年度の時点の成果としてはおおむね順調であると考えている。

Strategy for Future Research Activity

平成30年度は,平成29年度に引き続き絵本の種類分類を試みるとともに,その分類に基づいて,絵本の種類が養育者の絵本に対する期待や読み聞かせ行動にどう影響しているか,絵本一般に対する期待や行動と,購入した絵本に対する期待や行動との差異を検討することによって明らかにしたい。また,平成30年度は絵本の種類が養育者の期待や読み聞かせ行動に影響することをより直接的に検討するため,絵本の基本的な分類に基づいて各絵本の種類に典型的な絵本の1ページを刺激として提示し,その絵本に対する養育者の期待や読み聞かせ行動がどのように異なるのかについて実験的に検討していく予定である。

  • Research Products

    (2 results)

All 2018

All Presentation (2 results)

  • [Presentation] 母親による絵本に対する子どもの反応記述の信頼性の検討―絵本「きんぎょがにげた」における子どもの「指さし」反応のレビューデータと観察データの比較2018

    • Author(s)
      齋藤有・上原宏 ・笠松美歩・宇津呂武仁
    • Organizer
      日本発達心理学会第29回大会
  • [Presentation] 乳幼児をもつ保護者の絵本購入行動と購入絵本に対する意識―最近購入した絵本に関する質問紙調査および面接調査からの検討2018

    • Author(s)
      齋藤有
    • Organizer
      日本教育心理学会第60回総会

URL: 

Published: 2018-12-17  

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