2017 Fiscal Year Annual Research Report
明治期キリスト者の神道観―近代日本キリスト教史と神道史の架橋に向けて―
Project/Area Number |
17H07093
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Research Institution | Kokugakuin University |
Principal Investigator |
齋藤 公太 國學院大學, 研究開発推進機構, 助教 (40802773)
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Project Period (FY) |
2017-08-25 – 2019-03-31
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Keywords | 近代日本宗教史 / 近代日本思想史 / キリスト教 / 神道 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は明治期のプロテスタント教会における代表的キリスト者が抱いていた神道観の特質とその背景を解明し、近代日本キリスト教史と神道史の架橋を目指すものである。研究実施計画にしたがって研究を行った結果、今年度は以下のような成果があった。 まず(1)本研究の課題に関わる近代日本キリスト教史・神道史の先行研究を確認し、対象となる人物を選定した。また植村正久など明治期のキリスト者にまつわる図書資料を収集した。 (2)同志社大学人文科学研究所所蔵の「海老名弾正資料」の調査を行った。具体的には海老名の神道に関する論考の草稿や、神道をテーマとする英文の演説原稿、神道関係人物の書簡などを調査し、マイクロフィルムから複写した。また波多野精一や小崎弘道の書簡から、両者とともに海老名が独逸新教神学校の復興に関与していたことが明らかになった。これは平田国学におけるキリスト教の影響を指摘した村岡典嗣の学問的背景を考察する上でも意味のある発見であると言える。 (3)研究協力者を任用し、その協力を得て同志社大学人文科学研究所監修『キリスト教新聞記事総覧』(日本図書センター)の第1巻と第2巻を調査し、明治期キリスト者の神道観に関わる新聞記事をリスト化した。調査を行なった範囲は『七一雑報』(1875-83年)、『福音新報』(1883-85年)、『東京毎週新報』(1883-84年)、『基督教新聞』(1885-1899年)、『東京毎週新誌』(1900-02年)、『基督教世界』(1903-42年)である。また、同様に研究協力者の協力により、植村正久の神道観に関する資料もリスト化した。内村鑑三についても調査を行ったが、神道観に関する明示的な資料を見つけることができなかった。柏木義円に関する調査も行っているが、まだ途中段階である。 以上のリスト化が済んだものは下記の成果公開のウェブサイトにてデータを公開した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は研究実施計画にしたがい、調査対象人物の選定、先行研究の確認、資料調査出張、キリスト教系新聞・雑誌記事や全集・著作集の調査・リスト化を遂行することができた。採択時期の関係上、研究成果に基づく学会発表や論文投稿等はできなかったが、明治期キリスト者の神道観に関する資料のリストはウェブ上で公開することができた。そのため、研究課題はおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度も引き続き研究協力者を任用し、キリスト教系の新聞・雑誌記事や全集の調査・リスト化を進め、作成したファイルをウェブサイト上で公表する。それと並行して植村正久や海老名弾正など著名なキリスト者の神道観に関する分析を行っていく。一次資料の調査のための出張も行う。また平成30年度からは上記の調査結果に基づき明治期キリスト者の神道観の類型化を進め、個別人物の神道観に関する研究成果を学会発表や論文等を通して公表していく予定である。
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Research Products
(1 results)