2017 Fiscal Year Annual Research Report
脳透明化技術と次世代拡散MRIによる精神・神経疾患の病態解明
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17H07097
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
ケレベール オレリアン 順天堂大学, 医学部, 特任助教 (70623594)
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Project Period (FY) |
2017-08-25 – 2019-03-31
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Keywords | autism / oligodendrocyte / extracellular matrix / chondroitin sulfate |
Outline of Annual Research Achievements |
老化および精神神経疾患において脳内ネ ットワークの巧緻性破綻が注目され、オリゴデンドロサイトによる“髄鞘のチューニング”が重要であることがわかってきた。しかし、その脳微細構造変化の評価は従来のMRI では3次元構造の観察が難しく、“髄鞘のチューニング”の解析には限界があった。申請者は、微細構造変化を超高解像度・3次元画像で観察することを近年に可能とした「脳透明化技 術」と「拡散MRI」で突破口を開きつつある。本研究の目的は透明脳化技術及び拡散MRIを並行して用い、灰白質 と白質の髄鞘形成と神経細胞間連携を正常、加齢、疾患モデルマウスで解析するための評価方法を確立することである。将来的に精神神経疾患の早期診断マーカー開発に寄与する。平成29年度は、脱髄・再髄鞘化モデルマウスの作成と解析プロトコールの確立を開始した。脱髄領域の作成として、脳地図をもとに定位的に脳梁近傍の脳皮質に LPCを注入し脱髄巣を作成することに成功した。脱髄巣における白質及び灰白質の軸索変性の評価には神経細胞が蛍光ラベルされるThy-1 YFP マウスを用いるが、4%PFA還流固定後MRI撮像を行った後、1mmの冠状断切片を作成しCUBICと SCALE法を用いて透明化することに成功した。脳梁及び脳皮質における脱髄の確認のための免疫染色の条件検討を行った。一部はH30年度に継続する。MRIデータ評価のための準備を開始した。3D-T2強調像についてVBM手法を用いて、脳容積・灰白質容積の縦断的評価を行うための条件設定を行った。拡散テンソル解析、拡散尖度解析、 NODDI解析、MR G-ratio解析を行い、脳白質、灰白質変性を定量評価し、軸索径、軸索密度、軸索 ・髄鞘比をはじめとした脳内の微細な構造変化を定量化するための条件検討を行った。これらの条件検討をもとにH30年度に解析を進めていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究開始後、実験の条件検討が順調に進み、平成30年度に計画された研究計画も順調に進められるため。
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Strategy for Future Research Activity |
I. 脱髄・再髄鞘化モデルマウスの作成と解析プロトコールの確立。H29年度に確立した脱髄・再髄鞘化モデルマウスを用いた解析を継続する。 脱髄領域の作成: 脳地図をもとに定位的に脳梁近傍の脳皮質にLPCを注入し脱髄 巣を作成する。生食を同部位に注入したマウスを対照群とする。脱髄巣における白質及び灰白質の軸索変性の評 価には神経細胞が蛍光ラベルされるThy-1 YFP マウスを用いる。4%PFA還流固定後MRI撮像を行った後、1mmの冠 状断切片を作成しCUBICと SCALE法を用いて透明化する。共焦点レーザー顕微鏡で撮影する。 MRI: 脳梁及び脳皮質における脱髄の確認は、各期に実施する。1 LPC注入7日後: 髄鞘崩壊期、脱髄巣の範囲 と程度の確認とMRI画像との比較。神経軸索の変化はThy-1 YFP マウス、OPCの観察にはSox10-Venusマウスを用 い、分化マーカーを用い免疫染色。2 LPC注入15日後: 再髄鞘化開始期、3D microscopy:ミエリン髄鞘化の範囲と程度の確認とMRI画像との比較。オリゴデンドロサイト前駆細胞のリク ルート及び分化の程度と範囲の検証。3 LPC注入30日後: 再髄鞘化完成期、髄鞘化の範囲と程度の確認とMRI画像の比較。 II.MRIデータ評価 1)3D-T2強調像についてVBM手法を用いて、脳容積・灰白質容積の縦断的評価を行う。 2)拡散MRIデータについて、拡散テンソル解析、拡散尖度解析、NODDI解析、MR G-ratio解析を行い、脳白質、灰白質変性を定量評価し、軸索径、軸索密度、軸索 ・髄鞘比をはじめとした脳内の微細な構造変化を定量化する。さらに拡散テンソル解析には脳コネクトーム解析 を追加して行う。 3)上記解析により得られた定量値と組織学的検討定量値との照合 ・相関解析を行う。
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Research Products
(1 results)
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[Journal Article] The Relationship between Neurite Density Measured with Confocal Microscopy in a Cleared Mouse Brain and Metrics Obtained from Diffusion Tensor and Diffusion Kurtosis Imaging2017
Author(s)
Ryusuke Irie, Koji Kamagata, Aurelien Kerever, Ryo Ueda, Suguru Yokosawa, Yosuke Otake, Hisaaki Ochi, Hidekazu Yoshizawa, Ayato Hayashi, Kazuhiko Tagawa, Hitoshi Okazawa, Kohske Takahashi, Kanako Sato, Masaaki Hori, Eri Arikawa-Hirasawa, and Shigeki Aoki
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Journal Title
Magn Reson Med Sci
Volume: 17(2)
Pages: 1-7
DOI
Peer Reviewed / Open Access