2017 Fiscal Year Annual Research Report
錯形成により多価効果を示す99mTc標識メラノーマイメージング薬剤の開発
Project/Area Number |
17H07110
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Research Institution | Showa Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
水野 雄貴 昭和薬科大学, 薬学部, 特任助教 (90805194)
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Project Period (FY) |
2017-08-25 – 2019-03-31
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Keywords | SPECT / メラノーマ / 多価効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
イソニトリルは、酸化数+1の99mTcに対し単座配位子として強力に配位し、1分子の99mTcに6分子のイソニトリルが配位した99mTc標識6価体を与える。この性質を利用することで、標的分子認識素子を1つのみ有する1価イソニトリル配位子から、標的分子認識素子を6つ有する99mTc標識6価体の作製が可能になると考えられる。 代表者らはこれまでに、環状RGDペプチドを用いた検討から、インテグリンαvβ3イメージングにおける上記薬剤設計の有用性を実証してきた。本研究では、転移性メラノーマで過剰発現するMC1Rに対して中程度の親和性を有するHis-D-Phe-Arg-Trp (HfRW) を標的分子認識素子として選択し、上記薬剤設計をメラノーマイメージングへと展開することを目的とした。 昨年度は、HfRWにイソニトリルを導入した1価イソニトリル配位子を合成し、本配位子を用いて99mTc標識反応を行った。しかし、環状RGDペプチドを有するイソニトリル配位子を用いた場合とは異なり、HfRWを有する本イソニトリル配位子を用いた場合では、目的とする99mTc標識6価体の生成が認められなかった。99mTc標識反応溶液のTLC分析の結果、原点への非常に高い放射活性を認め、またHPLC分析においては、ほとんどの放射活性がカラム内から溶出されなかった。これらの結果は、コロイドのような非常に大きな分子量を有する副生成物の生成を示唆しているが、環状RGDペプチドを有するイソニトリル配位子ではそのような現象は見られなかったため、本副生成物の生成にはHfRW配列の存在が関与していると考えられる。そのため、今後更なる分子構造の検討は必要とされるものの、HfRWを有する1価イソニトリル配位子からの99mTc標識6価HfRW体の作製は、困難である可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初問題なく進行すると考えていた99mTc標識反応が進行せず、大幅な分子設計の変更が必要であったため。
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Strategy for Future Research Activity |
上述の通り、引き続き99mTc標識が可能なイソニトリル配位子の分子構造について検討を進める一方で、多価HfRWにDOTAを導入した新たな配位子の合成も並行して実施する。111InはSPECTに適したエネルギーのガンマ線を放出し、かつDOTAとの反応から111In-DOTAを迅速かつ定量的に与える。また、低濃度 (≒ 10 μM) のDOTAを用いた111In標識反応においても、目的とする111In-DOTAが定量的に得られることが知られている。そのため、多価HfRWにDOTAを導入した配位子を作製することで、標識反応溶液に混在する非標識配位子量の低減、即ち本研究の目的であった競合阻害の影響低減が達成できると考えた。 具体的な分子設計として、グルタミン酸の2つのカルボン酸に (Pro-Gly)n リンカーを介してHfRWを導入し、グルタミン酸のアミノ基にDOTAを導入する。多価効果による親和性増加の程度はリンカー構造に大きく影響を受けることが知られているため、(Pro-Gly) のユニット数を検討することで、多価効果による親和性増加を最大限高めるユニット数を見出す。その後、インビトロでの結合親和性において有望な結果を示した化合物において、メラノーマ細胞移植モデルマウスを用いたインビボ体内動態試験を実施する。
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