2017 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17H07115
|
Research Institution | Tamagawa University |
Principal Investigator |
中平 健治 玉川大学, 量子情報科学研究所, 教授 (90804005)
|
Project Period (FY) |
2017-08-25 – 2019-03-31
|
Keywords | 量子測定 / 量子情報 / 量子光学 / 最適逐次測定 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では,量子逐次測定を最適化するための理論を構築し,誤り率を最小とする逐次測定や,より一般的な最適化規準に基づく最適逐次測定を導出することを目的とする。量子逐次測定は,量子個別測定と一方向の古典通信により実現される量子測定であり,逐次測定に限定しない場合の量子測定と比べると性能が低い可能性はあるが,現在のテクノロジーで比較的容易に実現できるという利点を有する。識別対象とする信号系に応じて逐次測定を最適化し,その性能を把握することが必要とされるが,本研究着手時点では最適逐次測定を求める方法が確立されておらず,ごく簡単な信号系を除いては最適逐次測定の性能は明らかになっていなかった。 今年度は,誤り最小逐次測定を求める問題を凸計画問題として定式化し,本測定が満たすべき必要十分条件を導出した。また本結果を活用して,3値位相偏移変調コヒーレント光信号系に対する逐次測定の性能が最適量子測定と比べてどの程度低下するかを明らかにした。本結果を纏めた論文はPhysical Review A誌のEditor's suggestionに選定された。さらに,誤り率規準に限定されないより一般的な最適化規準に基づく最適逐次測定を求めるための理論を構築し,本測定が満たすべき必要十分条件を導出した。特に識別対象とする信号系がある種の対称性を有している場合には同種の対称性を有する最適逐次測定が存在することを明らかにし,本性質を利用して幾つかの信号系に対する最適逐次測定を解析的に求めた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究実施計画に沿って誤り最小逐次測定の解析法を構築し,幾つかの具体的な信号系に対して解析的・数値的に最適解を導出できた。さらに,次年度に実施する予定であったより一般的な最適化規準に基づいて逐次測定を最適化するための理論を構築でき,当初の計画以上に成果が得られている。
|
Strategy for Future Research Activity |
当初の計画に対して困難や障害は生じておらず,継続して量子逐次測定の研究を推進する。量子信号識別の分野において誤り率規準と同様に広く用いられているUnambiguous規準に基づく最適逐次測定について重点的に解析を進める予定である。
|
Research Products
(6 results)