2017 Fiscal Year Annual Research Report
買い物目的抽出モデルの開発と買い物目的が店舗選択行動に与える影響の研究
Project/Area Number |
17H07130
|
Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
山口 景子 東京理科大学, 経営学部経営学科, 講師 (40801410)
|
Project Period (FY) |
2017-08-25 – 2019-03-31
|
Keywords | 商学 / マーケティング / 消費者行動 / 店舗選択 / 買い物目的 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,購買履歴データから消費者の買い物目的を抽出する新手法を提案し,その買い物目的と店舗選択行動の関連性を探ることである。そこで平成29年度は,消費者の買い物目的および店舗選択行動に関する既存研究の成果を整理し,買い物目的と店舗選択行動の関連性を数理モデル化する上で考慮すべき要因や構造を明らかにすることを中心課題として研究を遂行した。 既存研究の整理と並行し,本研究で分析対象とするマルチプル購買データのクリーニングを行った。特に,多くの先行研究において消費者の店舗選択行動に大きな影響を与えると言及されている店舗までの距離情報について,当初活用を想定していたデータベースが使用できなくなったため,代替データベースの検討を含め本年度において多くの時間を費やすこととなった。 一方,クリーニングが終了した一部のデータを用いて,本研究での適用を想定している数理モデルの妥当性を検証するための予備分析を実施した。その結果,同時に購買されている商品カテゴリの組み合わせには,業態ごとに複数のパターンが存在することが明らかになった。購入日時や店舗までの移動手段,選択した業態などの購買時点における消費者の行動要因を商品カテゴリの同時購入パターンと組み合わせてみることで,購買履歴データから消費者の買い物目的の抽出可能性について示唆を得ることができた。 平成29年度の研究成果については,日本オペレーションズ・リサーチ学会「数理的発想とその実践」研究集会において研究成果報告および今後の方向性に関する議論を行った。本研究では機械学習分野で主に研究されている分析手法の適用を想定しているため,当該分野の研究者から本研究に対する有用なフィードバックを得ることに努めた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
上述のとおり,平成29年度は消費者の買い物目的および店舗選択行動に関する既存研究の成果を整理し,買い物目的と店舗選択行動の関連性を数理モデル化する上で考慮すべき要因や構造を明らかにすることを中心課題として研究を遂行した。平成30年度においても引き続き分析用データのクリーニング作業が一部発生する見込みであるが,すでにクリーニングが終了しているデータを用いた予備分析の実施により,数理モデル構築の上で考慮すべき要因や組み込むべき構造などの洗い出しを行っており,次年度の研究計画の遂行に大きな影響はないものと見込まれる。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成29年度に実施した既存研究の整理と買い物目的の抽出に関する予備分析の結果を踏まえ,平成30年度においては買い物目的と店舗選択行動の関連性の数理モデル化を実施する。そのために,前年度からの課題である分析用データのクリーニングを可及的速やかに終了する。数理モデル構築後は,他の分析手法との精度比較などを行い,提案モデルの有用性とそこから得られる示唆の妥当性を検証する。また,次年度が最終年度のため,この一連の結果を学術論文としてまとめ,マーケティング領域における有力な海外学術誌への投稿と,INFORMS Marketing Science Conferenceや日本マーケティング・サイエンス学会,経営情報学会など国内外の学会での研究報告を予定している。
|