2017 Fiscal Year Annual Research Report
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17H07131
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
藤江 健太郎 東京理科大学, 理学部第一部数学科, 助教 (50805398)
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Project Period (FY) |
2017-08-25 – 2019-03-31
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Keywords | 走化性 / Keller-Segel系 / 放物型方程式 / 関数方程式 / オイラー方程式 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では走化性による粘菌の挙動を記述する走化性方程式系を研究対象とし,以下の研究成果を挙げた:1,一般の感応性関数をもつ走化性方程式系の解の挙動の解析。移流項を持つ方程式の時定数が小さいという設定で,一般の感応性関数をもつ放物・放物型走化性方程式系を解析した(福岡大学の仙葉隆教授と共同研究)。実際,感応性関数に対して自然に臨界と考えられる条件のもとで大域可解性を示した。時定数の大きい場合については先行研究があり,これに対応する未解決であった部分である。また,空間3次元以上の場合で臨界と思われる条件を導出した研究は初めてである。技術面においては,走化性方程式系を単独方程式の摂動として見て、摂動による誤差の評価を行うという新しい視点を導入した。2,走化性方程式系の持つ数理構造の一般化。空間4次元で初期値が大きい場合に,二種の化学物質を持つ走化性方程式系の解が爆発することを示した(福岡大学の仙葉隆教授と共同研究)。この研究によって,走化性方程式系の変分構造は高次元に一般化できることが明らかになった。また,空間1次元の走化性方程式系がある種の崩れた変分構造を持つことを発見した(IMPANのCieslak准教授と共同研究)。この新たな数理構造を利用することで,空間1次元において自然に臨界と思われる準線形走化性方程式系において臨界現象が起こらないことを示した。3,走化性方程式系とオイラー方程式の連立問題については,古典解の時間局所存在を確認することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究1については,平成29年度計画であった時定数が小さい場合の一般の感応性関数をもつ走化性方程式系の解の挙動の解析を行うことができた。特に自然に臨界と思われる条件を導くことができた。 研究2については,平成29年度計画にあったHorstmannの手法の一般化を行うことができた。 研究3については,平成29年度計画にあった渦度方程式を媒介とする不動点定理を適用するKatoの手法が適用できることを確認できた。
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Strategy for Future Research Activity |
研究1については,爆発解の構成が目標である。virial identityを用いた放物・楕円型方程式系の爆発解の構成方法を放物・放物型方程式系に対して拡張できないか検討する。必要に応じてBiler教授(ヴロツワフ大学)・Karch 教授(ヴロツワフ大学)と連携を取り合う。 研究2については,有限時刻爆発解の構成が目標である。具体的には高次元の場合にWinklerによる微分不等式による方法の一般化を行いたい。また,臨界である空間4次元ではvirial identityを用いた方法の一般化ができるかどうかを検討する。さらに,優臨界な拡散指数を持つ1次元準線形走化性方程式系の有限時刻爆発解の構成については,新しく発見した崩れた変分構造を利用するという視点で研究を推進する。必要に応じてCieslak准教授(ポーランド科学アカデミー)と連携を取り合う。 以上の研究について得られた結果は取りまとめ、日本数学会・国際研究集会「The 12th AIMS Conference on Dynamical Systems, Differential Equations and Applications」(台北・台湾)などで発表を行う。
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Research Products
(9 results)