2017 Fiscal Year Annual Research Report
Environmental Infectious Epidemiological Study with Real Time Surveillance System
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17H07136
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
中村 孝裕 東邦大学, 医学部, 助教 (00565202)
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Project Period (FY) |
2017-08-25 – 2019-03-31
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Keywords | インフルエンザ / リアルタイムサーベイランス / 感染症発生動向調査 / 環境疫学 / 時系列解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
川崎市は神奈川県北東部に位置し、多摩川を挟んで東京都と隣接している。川崎市では新興・再興感染症など危機管理事象の発生に対応できるように、医療機関と行政とのネットワーク構築を目指して、2014年3月から感染症情報発信システムを導入した。非日常的な感染症事例に対する備えを目的としてリアルタイムに情報を収集すべく、感染症発生動向調査とは別に、川崎市内のシステムの全登録医療機関を対象として、まずはインフルエンザに対するリアルタイムサーベイランスを開始した。A型あるいはB型インフルエンザの患者数を各医療機関が川崎市感染症情報発信システムに毎日入力し、同システムを通じて公開するものである。 リアルタイムサーベイランスは感染症発生動向調査とは異なり市内登録医療機関による報告であり、かつリアルタイムに報告を行うため週単位の報告をもととした感染症発生動向調査よりも流行の伝播に関して早期探知が見込める可能性がある。これまで感染症発生動向調査と川崎市リアルタイムサーベイランスについて比較し、類似点・相違点を検討した報告はない。今後この2つのサーベイランスシステムの特性を有効活用し、感染症施策に役立てることを目的に川崎市リアルタイムサーベイランスと感染症発生動向調査の特性について比較と感染症報告数についての相関について検討を行った。本研究は環境変化の短期急性影響を明らかにすべく本サーベイランスに着眼した。また感染症流行の地域的展開については地理情報システム(Geographic Information System, GIS)を用いて流行動態を目に見える形での解析も予定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
川崎市では2014年3月から全医療機関を対象に国の感染症発生動向調査とは別に川崎市独自の「リアルタイムサーベイランス」を実施している。これはA型およびB型インフルエンザと診断された患者数を各医療機関が毎日入力するものである。そのサーベイランスデータについては川崎市感染症情報発信システムを通じて外部からも閲覧することができる。2017年10月に行われた第76回日本公衆衛生学会総会にて川崎市リアルタイムサーベイランスを用いた感染症疫学研究第1報および第2報として記述疫学と気象因子との関連に関した時系列解析について発表を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では平成29年度にインフルエンザ含む感染症に関しての記述疫学解析と粒子状物質、黄砂、気温や湿度に関する気象因子の記述疫学を行う。 平成30年度では、前年度に行った発表を論文にする作業と環境因子との関連解析、GISを利用した空間疫学解析を含めた各種解析を計画している。 また川崎市リアルタイムサーベイランスを用いたインフルエンザ流行指標についての検討も予定している。
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